
こんにちは、Miyabiだ。
あなたはカラオケが好きだろうか?
最近行ってないな~カラオケ…
ここ2年はパンデミックの影響でめっきり行かなくなってしまったが、それ以前は僕は1人カラオケによく行っていた。
トランスジェンダー男性は男性ホルモン治療をすると、シスジェンダー男性の思春期に訪れるような声変わりが起こる。
トランスジェンダー女性は女性ホルモン治療で声は高くならないものの、ボイストレーニングで女性らしい声を獲得すると聞く。
声は意外にも、自分のアイデンティティとして大きく影響するものなのだ。
今回は特にカラオケに話題を狭めて、
- ホルモン治療開始前、カラオケに何を求めていたのか?
- ホルモン治療後もカラオケって自分の声を出すのに有用説
についてお話していこう。
目次
トランスジェンダーとカラオケ
【 ホルモン治療を開始する前 】カラオケに行っていた理由

1人で行ったり、2人~5人くらいで行ったり、とにかくカラオケが好きだった。
5人以上となるとメジャーどころ以外歌えない可能性があったので、それよりかは少人数で「好きなジャンルや歌手が違っても、なるほどー!って聴けて歌えるカラオケ」がよかったのだ。
仕事終わりだったり、学校の合間だったり、はては一人旅の最中だったり、とにかく歌いに行っていた。
中毒だね。
「男性ホルモン注射」を開始する前の話となる。
この頃好きだったのがⅤ系。
Ⅴ系は男性ボーカルだがとにかく音域が上に上に広い人がほとんどだ。
つまり、「女性でもカラオケで歌える音域の男性曲」なのだ。
そして10年代のV系は戦国時代でバンドが乱立した時代でもあったので、「恋愛」「黒薔薇」という王道以外にも漫画や映画のように膨大なテーマが存在していた。
なので、男性を自認している自分がホルモン治療を待たずして、男性曲を、好きなバンド・好きなテーマを選び取って歌える状態なのである。
「今高い音域で歌ってるけど、これは自分の身体の性別が女性だからじゃなくて、男性でも上手いボーカル・声の高いボーカルだとここまで声が出るんだ」
こういう声と性自認とのギャップに対して自己肯定感を与えてくれたのだ。
また2人以上で行ったとき「声カッコイイね!(だいたい歌がカッコイイからそう聞こえる)」と褒められたら、男性と認められた感じがして勝手に嬉しかったのもある。
【 ホルモン治療を開始する前 】 鬼門は?

好きな男性ボーカルが女性ボーカルの曲をカバーしたりもするので、歌声に性別は関係ない、と理解して、そこからは好きな曲を漁るようになった。
が、一方で。
Ⅴ系ボーカルの音域が広いということは、高い音域を歌えるだけではなく、同じくらい低い音域も使いこなせるということだ。
Aメロ部分やバラード曲で、一般的な女性の声の音域よりも明らかに低いメロディーが出てきてカラオケで僕の声が途切れ途切れになると、上に書いたような自己肯定感もクソもない。
こちらの記事でも書いたように、ホルモン治療をしなくても声を低くすることは可能だ↓
トランス女性なら自力で声を高く自然にするボイトレが当たり前くらいに聞くし、男性ボーカルにしてもプロの歌手である以上は練習で音域の広さを勝ち取ったのだと思う。
とはいえ素人めからは「喉をしぼれば高い声は出るけど、どんなに喉を広げても低い声には限界があるよ……」と、高い声に定評のある男性ボーカルの曲のAメロで裏切られたように1音だけめちゃくちゃ低い音が入って歌えなかったとき、絶望を感じた。
男性曲を素人の男性が歌って声が出なかったら「素人だもんね」だが、女性が声が出ないとなると「女の子だから男の音域は出ないよね」と、解釈の軸がズレる。
ここが苦痛だったのだ。
プロは訓練しているって分かってはいても、「自分の性自認の声を出すには訓練が必要」って壁を感じると、たしかに絶望はするかもね。
ホルモン治療を開始した後のカラオケ

では実際に男性ホルモン治療を開始した後には、カラオケに対してどう気持ちが変化したのだろうか?
パンデミックを早々に挟むのでカラオケ店舗には行けなかったが、自宅でカラオケしてるときのことを書いていこうと思う。
声変わり期

トランス男性のホルモン治療で、声変わりはシスジェンダー男性の思春期と同じ変遷を辿る。
中学生くらいの男子が合唱を歌いたがらない、何かわめいてる・騒いでるけど声がかすれてる、ひっくり返ってる……そういう記憶があるだろう。
まさにこれが起こるのだ。
なので最初の1年は、あまり声を出したくない。
合唱コンクールの練習をサボりたい男子の気持ちが、自分事として、フィジカル的にすんごく理解できた瞬間だった。
この時期ははっきり言ってしまえば、歌ってもひっくり返って音程が全く取れないので、楽しくない時期だ。
声変わりが終わり~声安定期

この声がひっくり返る現象が収まると、今度は低い音域で「どこに声が安定するかな~」と喉が探る(ように感じる)時期となる。
ここに来たら、とにかく歌いまくった。
男性はホルモンで声が低くなるから「ホルモン治療を続ければ低くなるから楽」ではあるけれど、発声を安定させるためにはボイトレがためになる、のだと思う。
喉をしぼって話す→胸から話すって、発声方法を移行するとそれっぽくなるけど、慣れてないととっさにできなかったりするんだ。
後は単純に、ホルモン治療を開始する前に「出ない……」と絶望していた音域が普通に出るようになった感動を噛みしめる楽しみがあった。
僕の場合はゆっくりと確認ができ、かつ、ホルモン前は全く出なかった米津玄師「Lemon」のAメロを歌っては、メロディーを途切れることなくなぞれることに感動するを繰り返していた。
高い音域で展開している女性ボーカルやボカロ曲を、オクターブ下げて歌えたときには、「これが男声カバーか……!」と楽しくてしょうがない。
ホルモン治療を開始する前と比べて、「喉をこれくらい狭めるとこの音が出る」という切り替えが明らかに変化した。
その勘を安定させるためにも、カラオケ、というか歌を歌うのは有用だと僕は感じる。
まとめ

今回はカラオケに絡めてトランス男性と声についてお話してきた。
思えば治療前は「カラオケに行きたい!」「そろそろカラオケ行かなきゃ」とずっとかき立てられていた。
「今日はカラオケの日」と決めて、フリータイムでずっと歌ってた。
それが、緊急事態宣言があったとは言え、ホルモン治療を開始してからは「カラオケにとにかく行かなきゃ」という焦燥感(?)は全くなくなっている。
トランスジェンダー以外でもさまざまな変化があったので一概には言えないが、あのときのことを思い出しつつ書いてみた。
「男性ホルモン治療で実際にどう変わったの?」「声以外の変化も知りたい」という人は、こちらの記事も見てみてほしい↓