
こんにちは、Miyabiだ。
「ジェンダーを平等にしよう」という声をあちこちでよく聞く。
現代アートの世界でも「ジェンダーイクォーリティー調査」がされていて「やばい!どうにかしなきゃ!」と慌てつつ、頑張っているニュースが耳に入ってくる。
ジェンダーというと「性別」と訳されがちだが、実はもっと深い意味があるのだ。
「性別」の、もっと深い意味?
今回は、「ジェンダー」について簡単に解説してみようと思う。
目次
「ジェンダー」とは?
っていうか「性別」って何だ?

「ジェンダー」とは、「性別」と訳されがちだと先ほど言った。
確かに性別には間違いないのだが……
「性別」と言っても、色んな基準の性別がこの世には存在する。
「性別」の英語訳で一番はじめに出てくるのが「Sex」、つまり生物学的性別のことだ。
僕らは生まれてきた身体の性別が、一般的には戸籍に登録される。
あ、「元気な男の子・女の子ですよ~」って出産のときに言うやつだね!
そう、だが、生まれたときの身体を見ても、女か男か判別しづらい人もいる。
この場合、生まれてきた身体の性別と違った性別で、戸籍に登録される場合が出てくるのだ。

あるいは、生まれた身体の性別と戸籍の性別がいっしょでも、物心ついてきて
「あれ?自分は男(または女)なのに、周りは自分のことを女(または男)として扱ってくるな?」
と、自分と周りの認識がズレていることに気づく人がいる。
この場合、思春期の第二次性徴になると、今度は自分の身体の性別と、自分の認識する自分の性別が一致していないことに気づく。
またあるいは、身体も自分の認識する自分の性別も全部一致するけど、自分とは違う性別の服や言葉遣いで自己表現をしたいと思う人もいる。
……というように、「性別」と一言に言っても、全然違う「性別」があるのだ。
えええ、じゃあ、どれが「ジェンダー」の翻訳なの?
ジェンダーとは

では「ジェンダー」とは何かと言うと、
「社会的・慣習的に期待される性別ごとの役割」
のことを指す。
簡単に言うと、「周りに「この人は性別が○○だから~」と認識される性別」のこと。
つまり、「女の子なんだから料理ができなきゃ」「男の子だから外で遊ばなきゃ」と言った、性別ごとの「らしさ」縛りのことを言うのだ。
「らしさ」縛りかぁ。
じゃあ世間で言っている「ジェンダーを平等に」ってどういう意味?
僕は小学生のときテレビを見ていて、あるバラエティー番組で女性ゲストにだけ「掃除はするのか」「料理はするのか」と質問しているのを見て、疑問に思ったことがある。
何故なら、テレビで「料理人」企画をする際に登場する料理人は、100%男性料理人だったからだ。
「何で家事仕事では女性だけに料理スキルを求めるのに、プロの料理人は男性しかいないんだろう?」

これを例にとると、ジェンダーを平等に、とは、
- 家事仕事を女性にだけ求めない、女性がするのが当たり前ではない
- ふうふのスケジュールなどを照らし合わせたり、性別関係なく得意な方が担当するようにしたりする
- プロとなれるのは男性だけ、としない
- 男性も女性も、プロとなれるようにする
といった感じだ。
「トランスジェンダー」って何ジェンダー?

僕はトランスジェンダー男性だ。
トランスジェンダーも「ジェンダー」という言葉を含んでいるので、何かしらジェンダーに関わるはずだと分かる。
では「トランスジェンダー」とは何だろうか?
トランスジェンダーを本やネットで調べると、
「身体的性(生まれた身体の性別)と性自認(自分をどの性で認識するか)が、一致していない人・状態」
と出てくる。
確かにそうなのだが、では一体どこが「社会的・慣習的な性別ごとの役割」の「ジェンダー」と関係があるのだろう?
確かに!
この説明じゃ、身体と自分の認識が違うっていう、自分の中での問題でしかないよね?

第二次性徴で男女の身体的特徴が一気に出てくる。
そこからであれば、身体と性自認との比較をしやすい。
ただ、トランスジェンダーでも幼稚園時代、物心ついた頃から「あれ?性別に違和感」と思う人がけっこういる。
僕もそうだった。
このときの意識は、「周りが自分を別の性別で認識している!」って感じだ。
小学生に上がってから、先生に整列のとき
「男子はこっち、女子はこっちに並んで~」
と指示されることが多かったが、このときもサッと分かれて並べる同級生が不思議でしかたなく、
「僕は男子だけど、男子列に並んだらきっと先生は怒るんだろうな、女子列に並んだら先生は何も言わないんだろうな。……女子列並ぶかー」
とひとしきり考えてから並んでいた。

つまり、戸籍の性別に対してのジェンダー意識が強く、性自認が完全無視されている状態なのだ。
で、ここから「トランス(超えて、変えての意)」するとは、この周りから扱われる「ジェンダー」を変えることなんじゃないかと、僕は思う。
先ほど、「ジェンダー」とは「らしさ」縛りと言ったが、その「らしさ」の中に
- 女の子に「女子ー」と呼びかけたら「はーい」と返事する
- 男の子に「男子ー」と呼びかけたら「はーい」と返事する
といった「期待」も入っている。
こういう小さな期待を「トランス」するのだ。
僕は「女子ー」と呼びかけられても返事ができない。
小学生時代だったら、色々考えた末、「答えた方が、先生は怒らない」と思って返事するかもしれないが。
「男子ー」と呼びかけたら「はーい」と返事する方を期待されたいのだ。
Xジェンダー

最後に、Xジェンダーについてお話しよう。
これは男性とも女性とも言えない性の総称で、「第三の性」とも言われたりする。
種類がいくつかあるので、こちらのリンク先を参照してほしい↓
Xジェンダーもトランスジェンダーに含まれる。
なのでXジェンダーの「ジェンダー」部分は、上でしたトランスジェンダーの「ジェンダー」部分の説明と同じだと考えられる。
「男」「女」の部分を、「中性」「無性」「間性」「不定性」と変えるのだ。
翻訳がないことの悩み

ここまで見てきて
「横文字ばっかり!」
と感じた人も多いだろう。
これはジェンダーが「性別」というガバガバ翻訳か、「社会的・慣習的に期待される性別ごとの役割」というめちゃくちゃ長い解説しかないのを見てお分かりのように、日本語にちゃんと翻訳作業がなされていないのが原因だ。
トランスジェンダーもそうで、このままだと
「コンプライアンスがうんたらで、エビデンスが~~リスケしといて!」
みたいな横文字だらけで情報が耳を滑りまくるビジネス会議状態だ。
これについてはnoteで記事にしてみたので、良ければ見てみてほしい↓
まとめ

今回はジェンダーについてお話してきた。
もしあなたが地球上にたった1人の人間だったら、「ジェンダー」は機能しない。(誰か他の人と生活していた記憶があるなら、1人でも「女としてこれは……」とか「男ならやるっきゃない」とか考えるだろうから、この場合はジェンダーは機能するかも)
周りの目を意識して、初めて「ジェンダー」ができると思う。
浴衣を着るとき、なぜ女性は男性の浴衣を着れないのだろう?
なぜ男性は女性の浴衣を着れないのだろう?
あるいは、なぜ「これは男性用」「これは女性用」と認識できるのだろう?
また、全然違う国出身の人からすると、浴衣は「男性も女性も巻きスカートなんだな」と認識されるかもしれない。
といったように、けっこう「ジェンダー」はその地域やコミュニティの慣習に縛られている。

大学時代、怖い話を調べるのにハマっていた時期があったが、そのとき「女人禁制」「男性は怪異に魅入られてしまう可能性がある」的な怪談が一定数あった。
トランスジェンダー男性である僕は
「女人禁制は、僕は大丈夫かな……生まれた身体の性別で見られたらアウトだけど、それ以外の性別だったら男だからセーフ??」
「男性好きな怪異は、トランスジェンダー男性も範囲内なのだろうか……」
と、旅行できるのかどうか、すごく頭をひねっている。
とりあえず、「「性別」って色んな種類があるんだな~」と理解していただけたら、幸いだ。