こんにちは、Miyabiだ。

ジェンダーレスという言葉をここ数年でよく聞くようになった。

「ジェンダー」って性別のことだよね。
LGBTq+と何か関係あるのかな?

美少年くんの言うように、ジェンダーレスという言葉は「性別」と関係がある。

そして「性別について何か言っている」と言えば、LGBTq+のイメージが強い。

今回は「ジェンダーレスとは何か?」「ジェンダーレスはLGBTq+と関係があるのか?」についてお話していこう。

ジェンダーレスとは?

まずはジェンダーレスについて見てみよう。

「ジェンダー」とは「性別」のことだが、ジェンダーレスを知るには、まずこの「性別」について踏み込んでいくと理解しやすくなる。

ジェンダー、性別について

日本語でいう「性別」とは、「1、生まれた身体の性別(身体的性)」「2、自分をどの性として認識しているかの性別(性自認)」「3、どんな性別を意識してファッションや言葉遣い、仕草をするかの性別(性表現)」の3つがある。

「性別」って一言に言っても
・生まれつき
・自分はどう在りたいか
・周りにどう見せたいか
の3つに分類することができるんだね。

次に「ジェンダー」。

ジェンダーという言葉は「性別」と訳されるが、もっと言うと、「社会的・慣習的に期待される性別の役割」と言える。

  • 男性に生まれた(1の身体的性)のであれば、男性として(2の性自認)男らしい(3の性表現)人物であることを期待される。
  • 女性に生まれた(1の身体的性)のであれば、女性として(2の性自認)女らしい(3の性表現)人物であることを期待される。

これが「ジェンダー」なのだ。

補足

さっきの1,2,3に加えて「4、どの性の人に恋愛感情や性欲を抱くか、抱かないかの性別(性的指向)」があると、その人の性に関するアイデンティティがそろう。

これらをまとめてセクシュアリティという。

セクシュアリティは人間誰もが持つものだ。

↓セクシュアリティについては、こちらの記事を参照してほしい↓

ジェンダーレスとは?

いよいよ今日のメインのジェンダーレスについて見ていこう。

先ほど「ジェンダー」は「性別」の中でも、「社会的・慣習的に期待される性別の役割」と説明した。

男なんだから、女だから、ってやつだね。

「レス」は英語の「より少ない」の意味なので、「社会的・慣習的に期待される性別の役割」が「より少ない」ことを言っている。

ジェンダーレスとは、社会的・慣習的に期待される性別の役割から解放された人やその表現を指す言葉なのだ。

よくある勘違い

ジェンダーレスを直訳すると「性別がより少ない」だから

「性別がない人だ!」

とよく勘違いされやすい。

が、ここまで読んできたあなたなら「ジェンダー」の意味についてより詳しく見てきたのでお分かりだと思うが、「より少なく」されているのは「性別」というよりも、「男らしく」「女らしく」という「性別のイメージ」だ。

1900年代に女性のパンツスタイルが登場したとき、当時は「女らしくない」「女が男のかっこうをしている」「女を捨ててる」といって批難された。
でも今じゃ「ああパンツスタイルなんだね」くらいで「女のするかっこうじゃない」とは言われないよね。

そう、ジェンダーイメージは時代や文化によって変化する。

なので「ジェンダーレス」のイメージも時代や文化によって変わってくるが、「性別がない人」というよりかは、「皆の期待してきた性別とは違うイメージ」であるだけの話なのだ。

ジェンダーレスとLGBTq+の関係は?

ジェンダーときたら「LGBTq+に何か関係あるの?」と疑問を抱いている人もいるだろう。

先ほどお話した「セクシュアリティ」だが、LGBTq+はこのセクシュアリティの項目のどれか1つ、あるいは複数がマイノリティである人のことを言う。

ではここから、セクシュアリティの4項目に添ってジェンダーレスを見ていこうと思う。

1,ジェンダーレスの生まれた性別は?

ジェンダーレスの生まれた身体の性別は、もちろんその人による。

「神様」とか「DNA」とかの領域だもんね。

2,ジェンダーレスの性自認は?

生まれた身体の性別がなんであれ、人は皆、自分がどの性であるか、ないかの認識がある

生まれた身体の性別と性自認が一致していれば、シスジェンダー

生まれた身体の性別と性自認が一致していなければ、トランスジェンダー

生まれた身体の性別が何であれ、性自認を「性別」のカテゴリーでとらえない人なら、ノンバイナリー

トランスジェンダーはLGBTq+のTだね。

ではジェンダーレスの性自認はというと、これも人によるのだ。

同じ「ジェンダーレス男子」でも、 生まれた身体の性別が男性で、性自認も男性の人の場合もあるし、生まれた身体の性別が女性で、性自認は男性の人の場合もある。

「男だけど「男ならこうあるべき」の通りでなくても良いじゃん」

「女だけど「女なんだからこうしなさい」の通りでなくても良いじゃん」

「Xジェンダー/ノンバイナリーだけど、「生まれた身体の性別が男/女だからこうしなさい」に添う必要ないじゃん」

なので、ジェンダーレスの性自認は何でもアリなのだ。

3,ジェンダーレスの性表現は?

ではファッションや言葉遣い・しぐさをつかさどる「性表現」はどうだろう?

ジェンダーレスは「社会的・慣習的に期待される性別の役割」からの解放なので、外から見えやすい性表現は「ジェンダーレス」を表現しやすいツールである。

ジェンダーレス男子やジェンダーレス女子って、中性的なかっこうをしているイメージがあるよ。

確かにジェンダーレスを表現するために中性的なかっこうをするイメージが強い。

だがこれも「絶対に中性的なかっこう!」という縛りがあるわけではない。

縛りがあったら「解放」も何も無くなるからだ。

なので基本的に「これ良いな!」「着てみたいな!」「こういう話し方が自分のイメージに合うな!」という選び方で性表現をしている人が多い。

ジェンダーレスはあくまでも考え方なので、身体的性・男性、性自認・男性の人が男性っぽいイメージの性表現をしてもいいし、中性的なかっこうをしても良いわけだ。

大事なのは、「マニキュアってオシャレだけど、女子のイメージだから男の自分は付けないほうが良いな……」「本当はスポーツ得意だけど、女の子は大人しくしといた方が良いよね……」というように、自分(または他人)に「性別がこうだから」という足かせを付けてしまわないようにすることである。

4,ジェンダーレスの性的指向は?

もうここまで見てきたら予想もつくだろう。

答えは、人による、だ。

ヘテロセクシュアルもいればゲイレズビアンバイセクシャルもいるし、パンセクシュアルであったり、あるいはノンセクシュアルアセクシュアルもいる。

性自認がマイノリティである「トランスジェンダー」に対してもよくある勘違いだが、「自分をどの性として認識するか」「どの性に対して恋愛対象・性欲を抱く・抱かないか」関係がない話なのだ。

もちろん「性表現」も恋愛対象・性欲とは関係がない

だから別項目になってるんだよね。

ジェンダーレスも同じで、「男なら男らしく、女だから女らしく」に縛られない、という話なので、恋愛対象・性欲とは別の次元の話となるのだ。

なのでジェンダーレスの人には異性愛者もいるし、同性愛者もいるし、恋愛感情または性欲がわかないよという人もいる。

結論・LGBTq+との関係は?

結論として、LGBTq+とジェンダーレスの関係は「ある人もいるし、ない人もいるよ」となる。

同じLGBTq+でも「ヘテロセクシュアル(異性愛者)でトランスジェンダーです」「シスジェンダー(身体的性と性自認が一致している)で同性愛者です」もいれば、「トランスジェンダーで同性愛者です」もいるように、一口に「○○だからLGBTq+!」と決定できない。

ジェンダーレスも「ヘテロセクシュアルでシスジェンダーだけど、選択肢はたくさんあって自由に自分を表現できれば良いな」という人もいるし、「LGBTq+に当てはまるけど、自分の表現は「男だから、女だから」で決められたくない」という人もいるわけだ。

世の中は「LGBTq+」「そうでない人」って二分したくなるけど、実はLGBTq+にも色んな人がいて、そうでない人にも様々な人がいるんだよね。

美少年くんの言う通りで、さらに、LGBTq+にもそうでない人にも、ジェンダーレスな考えで生きている人がいる、ということだ。

ジェンダーレスとは「考え方」

似た言葉で「ジェンダーフリー」というのがある。

これは「男性でも女性でもオッケーですよー」の意味だ。

例えば専業主ふ。例えば育児休業。

これらは今まで「女性だけ」という縛りがあった。

だが働く女性や同性パートナーなど、「男は外で働き、女は家庭にいる」以外の生き方がたくさん出てきた。

なので「主ふ」の漢字は「主婦」の他に「主夫」が当てはめられるようになったし、育児休業も「男性がとったらリストラ/出世なんてさせない」というのがダメになり、「親・保護者として」申請・取得できるようになった。

これがジェンダーフリーだ。

今までのジェンダーレスと違って、ジェンダーフリーは社会のシステム面の話って感じだね。

そう、ジェンダーレスは個々人の考え方であり、ジェンダーフリーは性別によって制限されていた社会的な選択肢を増やそうというイメージだと分かりやすい。

このジェンダーフリーもジェンダーレスな考え方をする人が増えて、生き方の選択肢は男か女かの2つだけ状態じゃなくていいじゃん、もっと選択肢たくさん増やして、という望みがあってこそ実現するものだ。

今のところ中性的なかっこうをする予定がなくても、ジェンダーレスな考えを持っていると世の中の選択肢が増えて、「幸せを得られる人」の総人口が増えるようになる。

まとめ

今回はジェンダーレスについてお話してきた。

ジェンダーレスというと「ジェンダーレス男子」が検索で真っ先に出てくるほど、中性的な魅力のあるイケメン男子が人気で知名度が高い。

なので「見た目」の印象が強くて「自分は中性的なかっこうしないからジェンダーレスはちょっと……」と避ける人もいるかもしれない。

だがさっき結論が出たように、ジェンダーレスは考え方なので必ずしも中性的なかっこうしなくても、男性がスーツにネクタイをビシッとキメながらでも、女性がフワフワ花柄ワンピースをまといながらでも「ジェンダーレス」であることができるのだ。

もっと言うと、スーツ・ネクタイ男子もフワフワ花柄ワンピ女子も、「自分が好きだから、自分に似合うから」その格好をしている、と、性別の縛りが真っ先に来るでなく考えているならば「ジェンダーレス」と言えると僕は思う。

「どっちにしても僕は美少年に生まれたかったなぁ」と思いながら、今日も絵を描いているのだった。

Miyabi Starr「反射」2021年