
こんにちは、Miyabiだ。
「セクシュアリティ」と聞くと「あぁ、LGBTq+ね」と、LGBTq+に関わることだというイメージがある。
実はセクシュアリティというのは、人間誰しもが持つものなのだ。
マイノリティだけじゃなくて、性的マジョリティも持つアイデンティティなんだね。
今回は人間が持つ性のアイデンティティ、セクシュアリティとはどのようなものかについて、お話していこう。
目次
セクシュアリティとは?

セクシュアリティとは、性に関してその人がその人らしく在るときのアイデンティティのことだ。
えーと、もっと簡単に言って?
「セクシュアリティ」の中に恋愛対象の項目があるのだが、例えば男性を好きな男性がいたとして、諸事情で「周りには「女性が恋愛対象」って思われるように行動しよう」としたとする。
この場合、この男性は「男性が恋愛対象」というのがその人らしく在るときのアイデンティティなので、周りからどう見えようが、セクシュアリティは「女性が恋愛対象」ではなく、「男性が恋愛対象」となる。

言ってみれば「もしお金に不自由することがなかったら、何がしたい?その答えが、あなたの本当にやりたいことだよ」みたいなことだ。
もし差別が一切なくなったとしたら、あなたはどのように在りたいか?
ここからセクシュアリティに関する4項目を見ていくので、このことを頭のすみっこに置いて読んでみてほしい。
セクシュアリティに関する4項目

「セクシュアリティ」は「男性or女性」の2択ではない。
というのも、セクシュアリティというのは4つの項目から成り立っているからだ。
この4つの項目のそれぞれの答えが、その人のセクシュアリティになるってことだね。
そう、順番に見ていこう。
1、身体的性

一般的に「あなたの性別を答えてください」と言われたときに想定されるのが、この身体的性だろう。
文字の通り身体の性、つまり生まれたときの身体の性のことで、生物学的な性とも言われる。
赤ちゃんが生まれたときに「生まれました!」って戸籍に登録する際に記入する性別のことだね。
これは性器の見た目や染色体のXYを見て判断され、女性・男性・不明の3種類が割り当てられる。
インターセックスの場合は「不明」になるのだが、出生届は「女性」「男性」の2択となり、「保留」もできるが保留自体が記録に残るとのことだ。
ドイツではインターセックスの方の起こした裁判において、「第三の性」をパスポートや身分証、出生記録に使用することが認められた。
男性も女性もインターセックスも、「この国だから」「この地域だから」ではなく、生き物としての性だ。
なので、このサイトでも身体的性は「男性」「女性」「インターセックス(第三の性)」の3つとして扱いたい。
2、性自認

性自認とは、心の性とも言われるやつだ。
自分を自分でどのような性として認識しているか、それが性自認と言われる。
さっきの身体的性とは関係あるの?
身体的性は身体の性だった。
つまり、生まれる場所・家族・見た目の美醜と同じように、自分では選べないもの・押し付けられるものということだ。
一方で性自認とは、身体がどうであろうと、自分は自分をどう考えているか?というものだ。
もちろん性自認も「自分をこう思ってしまう」という意味では自分で選べないものではあるが、身体的性が「はい、あなたはコレね」と押し付けられるのに対して、性自認は「自分はこう思う」と自分らしく在るとしたら自分をどの性と感じるか?が重要になる。

ここで「身体的性と性自認はいっしょ!」と感じるならシスジェンダー。
「身体的性はこうだけど、性自認は違うなぁ。同じじゃないなぁ」と感じるならトランスジェンダーとなる。(ちなみに僕はトランスジェンダー男性だ)
性自認の性は男性・女性・男性とも女性とも言えない(Xジェンダー)・まだ分からない、模索中(クエスチョニング)・そもそも自分に性別はいらない(ノンバイナリー)などなど、様々な考え方がある。
あなた自身に一番しっくりくるものは何かを考えてみよう。
3、性的指向

性的指向とは恋愛対象・性的な対象と言い換えることができる。
自分がどんな性に対して恋愛感情や性的欲求を感じるかが、性的指向だ。
もっと広げて、恋愛感情を抱かない、性的欲求を抱かない、もここにいれて良いと思う。
この「性的指向」の項目には、自分以外の相手の存在があるんだね。
そう、今まで見てきた身体的性・性自認、そしてこれから紹介する性表現は「あなた自身を見つめる」と見えてくるタイプのアイデンティティだった。
この性的指向は、相手の性自認も重要になってくるのだ。(なので「男性が好き」「女性が好き」「どんな性も好き」などは、相手の身体的性ではなく性自認にそって言うと、相手を傷つけることがない)

男性が好き・女性が好き・男女とも好き・どんな性も好き・恋愛感情はわくけど性的欲求はない・性的欲求はわくけど恋愛感情はない・恋愛感情も性的欲求もわかない、などなど、様々ある。
また一般的に認知度の高い「ゲイ」「レズビアン」「ヘテロセクシュアル」は、
- ゲイ…男性が男性を好き
- レズビアン…女性が女性を好き
- ヘテロセクシュアル…自分の性別の反対の性別が好き
というように、相手だけではなく自分の性自認も重要となる言い方だ。
いずれにしても「○○が好き」の○○は、相手の性自認が大事ってことだね。
4,性表現

性表現は、純粋に外見の話となる。
性表現とは、自分がどのジェンダーを意識してファッションや言葉遣い・しぐさをするか、のことを指す。
ジェンダーって?
ジェンダーとは、その社会やコミュニティが求める性別ごとの役割のことだ。
性表現でいうなら「女はスカート、パンプス」「男はスカートを履かない」という感じになる。
国や文化が変われば、スコットランドのように男性の伝統衣装はスカート(キルト)に見えるし、日本の浴衣も「男性も女性も巻きスカートだ」と言われればそうだ。
だがスコットランドでは「男性だからこそ」キルトだし、浴衣も「こういう柄でこういう着方」というのは男女の性差がある。
このようなことが性表現におけるジェンダーとなる。

一方で、「男装」「女装」という言葉があるように、自分の性別と違うジェンダーの服を着たり、しぐさをやったりすることも可能だ。
性表現はさきほども言ったように、純粋に見た目の話なのだ。
また身体的性とも違い、裸や染色体の見た目ではなく、社会的に生きるときの見た目だ。
なので、身体的性・性自認に合わせることもできるし、全く違う性表現にすることもできる。
セクシュアリティというのは4つの要素の組み合わせ

以上の4つがセクシュアリティを構成する組み合わせだ。
4つもあったら何がマジョリティで何がマイノリティか分からないね。
LGBTq+ってどんな組み合わせなの?
一般的に「性的にマジョリティ」というのは、身体的性が男性・女性で、性自認は身体的性と同じで、性的指向は身体的性と逆の性別で、性表現は身体的性と同じ、というものだろう。
LGBTq+やセクシュアル・マイノリティでも、セクシュアリティの4項目全てがマイノリティの場合もあれば、1つだけがマイノリティ、という場合もある。
例えば身体的性が男性、性自認も男性で一致して、性表現もまた男性の人が、性的指向も男性であれば、性自認と同じ性自認の人を好きということで「ゲイ」「LGBTq+」となる。
また、身体的性が女性、性自認が男性、性表現が男性というトランスジェンダー男性が、性的指向は女性というのであれば、この人は「ヘテロセクシュアル」「恋愛はマジョリティ」ということになる。
他にも、マイノリティが4つの項目のうち2つ以上ある場合も普通にある。
ヘテロセクシュアルやシスジェンダーが「マジョリティ」とされているが、その実、LGBTq+当事者でも「ヘテロセクシュアル」「シスジェンダー」であることも多い。
どちらが良いとか悪いとかではなく、人間には色んな要素が絡み合って「その人」を構成しているんだな、という認識で人と接することのできる世の中になると良いと思う。
まとめ

今回はセクシュアリティの4項目についてお話してきた。
ただ単に白と黒、というのではなく、「組み合わせは無限大!」という考え方が主流になれば良いな、と思ってこの記事を書いた。
4つの項目の説明がそれぞれ少し長くなったが、これも「男性か女性の2択」というのはどの項目にも存在しないよ、ということを示したかった。
「2択の方が簡単じゃん!」と思われるかもしれないが、自分が選択しようがしまいが、選択肢がたくさんある、という状況は自由が保障されているということだ。
「私はあなたの意見には反対だ。でも、あなたがあなたの意見を主張できる権利は、命をかけて守る」
フランスの哲学者ヴォルテールの「言論の自由」の言葉だが、僕はこれを守りたい。

2択というのは、「インタビューです!朝ごはんはパン葉?白米派?……え、スープ?朝はパンも白米も食べない?は?何言ってんの?パンか白米か選べよクソが」状態なのだ。
自由があるように見えて、出題者の都合の良いものしか選択肢に存在しない。
選択肢が多い、というのはそれだけ「主張する権利」が守られている。
自分の支持しない意見も主張する権利があるということは、巡り巡って「自分の主張がある日突然「言っちゃダメ。処刑」となる」ことがない、というだ。