
こんにちは、Miyabiだ。
「無性別になりたい」「今までは大丈夫だったけど、あるときから自分の身体の性別や、周りの人が認識する自分の性別に違和感を感じるようになった」
こういう経験は思春期によく起こる、とされている。
「思春期だから、第二次性徴だから、ホルモンバランスが体調に大きく関わってくるから」などなど言われるけど、そういう問題でもない気がするときは、どうすれば良いんだろう?
僕も例にもれず思春期には「性別とか無くなれば良いのに…」と思っていたトランスジェンダー(LGBTq+のT、身体の性別と性自認が一致しない人)だ。
今回は「無性別になりたい」と感じるのは何故か、またはどう対処したら良いかについてお話していこう。
目次
「無性別になりたい」って?

「無性別」をここでは「男」とも「女性」とも認識されない性という意味で使っていこうと思う。
また、生まれた身体の性別を身体的性、身体とは関係なしに自分のことをどのような性として認識しているかを性自認と言う。
身体的性と性自認はセクシュアリティを語る上で欠かせない言葉なので、覚えておくとかなり便利だ。
言葉の定義って大事。
「無性別になりたい」と感じている理由・3選
1、Xジェンダーの無性である・ノンバイナリーである

まずはそのものズバリのアイデンティティをご紹介しよう。
それはXジェンダーだ。
Xジェンダーとは「男性とも女性とも断定できない性自認」のことを指す。
「Xジェンダー」という言葉は英語っぽいけど、日本で生まれた日本語だよ。
英語では似た言葉として「Gender Queer」というのがあるんだ。
そのXジェンダーの中にある種類の1つが無性だ。
無性とは、男性でも女性でもない性自認のこと。

Xジェンダーには「男性でも女性でもある」「男性と女性の中間」などの性自認も含まれるので、比べて見ると分かりやすいだろう。
今回の「無性別になりたい」に一番近い性自認はこのXジェンダーの無性と言える。
またはノンバイナリー。
「ノン」を省いた部分・バイナリーとは白黒はっきり分ける、つまり「男・女の二元論」のことだ。
ノンバイナリーはそうではない、「性別」という前提を持たないで自分について認識するアイデンティティなのだ。
難しいね。
ようは「男か?」「女か?」「男でも女でもない」とかではなく、「自分は自分」と性別を意識しない感じかな。
この場合「性別でごたごた言われたくないな」などの理由から「無性別って周りから認識されないかな」と考えているかもしれない。
2、トランスジェンダーだけど、「トランスジェンダー」を知らない

これはまさに小学生~大学生時代の僕だ。
トランスジェンダーとは、身体的性と性自認が一致しない人や状態のことを指す言葉で、僕はこの言葉を大学卒業くらいの時期に知った。
それまでは
「身体は女だけど、周りに「女の子」って認識されていること自体が異常事態に感じる」
「書類で「女性」って書いてあったり、「男・女」で女側に〇を付けるのに違和感と抵抗を感じる」
「何故胸板じゃなくて胸が膨らむんだ?生理が来るんだ?」
「他の男の子は「俺」「僕」って言っているのに、なんで自分は「俺」「僕」って言ったら「直しなさい」って言われるんだ?」

などなど、違和感がたくさんあったが、当時は「トランスジェンダー」を知らなかったのと「性転換は男→女しかない」とテレビのオカマキャラを見て感じていた(すりこみって怖い)ので、結果的にこれらの違和感を最小限に抑えるために「無性別になれれば良いのにな」と感じていた。
実際の性別適合手術ないしホルモン治療は、身体的性・男→性自認・女もあるし、その逆もある。
さらにXジェンダーのニーズに答えた手術や治療も可能だよ。
正しい知識がなければ正しい判断もできない、と痛感した出来事だ。
このサイトではトランスジェンダーを始めとしたLGBTq+の情報を発信しているので、あなたも是非、読んでいただきたい。
3,ジェンダー意識の差

思春期になり身体が女性らしく、男性らしくなると、周りは自然とジェンダーを意識するようになる。
ジェンダーとは、社会的・慣習的な男性・女性の役割や性質のことを意味する。
簡単に言うと「男らしく」「女らしく」という、アレだ。
もちろんそれに適応できる人もいれば、「え、何でダメなの」「何でそうしなきゃいけないの?」「「男/女だから」以外に理由ないじゃん、何でダメなの?」と感じる人もいる。
顔や生まれと同じで、性別は自分で選択できない。
なのに「社会的・慣習的にそうだから」で押し付けられるのは、ちょっと違うよね。
ここから「無性別だったら良いのに」と思う人も出てくるだろう。
1のXジェンダー、2のトランスジェンダーとの違いを見極めるには、もし「男なんだから/女なんだから」と言われて強制されることがない世界だったら、を想像してみると良い。
もしそんな世界だったら、あなたは今の身体的性で生きていけるだろうか?
無性別になりたい理由が分かったら、どうすれば?
Xジェンダー、ノンバイナリー、トランスジェンダーの場合

まずは性自認が身体的性と違って違和感がある、という場合だ。
これらはホルモン治療や性別適合手術などで、身体を性自認に近づけることができる。
この記事を書いているMiyabiは性自認・男だから、ホルモン治療で男性の特徴を手に入れているよ。
どの性自認にしても
- ホルモン治療や性別適合手術がどのような作用をするか、治療を中断したときに元に戻る特徴・戻らない特徴はどれかを調べる
- ↑これらを調べた上で、「自分は」どこまでやれば満足かを考えておく
この2つが大事だと思う。

また、「ホルモン治療や性別適合手術まではまだ手を出せないな」という場合は、性表現を変えるというやり方もある。
性表現とは、ファッションや言葉遣い・しぐさなどを、どのジェンダーを意識して表現するか、を意味する。
「女性」と感じたらスカートやワンピースを着てみたり、「私」と言ったり、あるいは「男性は化粧をしないもの」であっても「V系が好き」「がっつりでなくても見た目を少しでも良くしたい」など「自分イメージ」があるので化粧をする、などなど。

大事なのは、性表現自体は身体的性・性自認と関係がない、ということだ。
身体的性や性自認とリンクさせても良いし、全く違う性表現にしても良い。
「まだ性自認がはっきり分からないよ…」
という人はクエスチョニングというアイデンティティもあるので、そちらもチェックしてほしい。
ジェンダーの差の場合

一方でジェンダーの差の意識から違和感が来る場合は、自分をどうこうするというよりも周りのジェンダー意識を変える必要が出てくる。
とはいえ、自分を変えるのは自分の努力でなんとでも行けるが、周りを変えるのは骨が折れすぎる。
なのでまずは近しい人から「自分はこう言われるのが嫌だ」と説明してみよう。
この際に、ジェンダーフリーな考え方や活躍をしている人や、その考えを資料として添えると説得力が上がる。(僕は高校時代、壇蜜さんの考え方を見て気持ちが楽になった。)
さらに本気度を示すなら手紙を書くのが良い。

親や先生に「ちゃんと考えてきている」という印象をつけやすいし、話すのが苦手な人でも手紙なら落ち着いてじっくり考えて言葉にすることができる。
自分の周りだけでもジェンダーフリーな意識にしたり、あるいは行動できるならいっそのこと「男だから」「女だから」と言わなさそうな人たちのいるところに行ってしまうのも手だ。
ジェンダー意識の差は環境によってかなり大きくなるから、今いる環境がしっくり来なくても、探せば良い環境は日本でもあるよ。
まとめ

今回は無性別になりたい、という思いについてお話してきた。
僕は幼稚園時代は「男のはずだけど、何かがおかしい」だった意識が、小学校に上がって「男子・女子」という区分けをはっきりされるようになって以降「無性別になりたい」と感じていた。
「男だけど、周りは女子って思っているから女の子を演じなきゃいけなくて……あーーめんどくさい、性別無くなれ!」という感じだ。
これに共感してくれる人もいれば、「いや違う」「何言ってんの?」という人もいるだろう。

「無性別」と一口に言っても、具体的には色んな理由があるし、そもそも自分や周りの性別に違和感を持たない人もいる。
まずは「とりあえず知っておく」というのが大事なのではないだろうか?
というか知っておいてほしい、そしていざという時「そういえばあんなこと言ってた人いたな…」と思い出してもらいたい、という僕の願望だ。
そうすれば「まったく聞いたことがない」状態よりも話し合いや共存の余地が出てくると思うのだ。