
こんにちは、Miyabiだ。
LGBTq+の旗といえばレインボーフラッグが有名だ。
6月の「プライド月間」では「街やネットでよく虹色の広告を見かけたな~」という人も多いのではないだろうか?
オシャレなお店でレインボーなポスターや飾りつけがあったから、LGBTq+であってもなくても、なんか楽しい雰囲気を楽しめて良かったよね。
ところでLGBTq+関連の旗は、レインボー以外にもたくさんあることをご存知だろうか?
今回は、レインボーフラッグとLGBTq+の関係、レインボー以外のLGBTq+関連の旗の種類についてお話していこう。
目次
LGBTq+の旗と意味について

国や地域に国旗、家族に家紋があるように、人間はコミュニティを象徴するために一目で「○○だ!」と認知できるアイコンを作ってきた。
「青地に白い鳥」なら「ツイッターだ!」みたいな、あれね。
LGBTq+の旗も同じで、LGBTq+の人権運動を行う際に「LGBTq+というコミュニティ」を象徴するために生まれ、改変を加えられてできたものなのだ。
レインボーフラッグって?

日本なら日の丸の旗。
LGBTq+ならレインボーフラッグ。
実は「レインボー」と言っても、その色は7色ではなく6色なのだ。
印刷のインクが入手困難とかで、もともとは8色あったのが6色になったんだ。
絵を描く身としては「虹色って綺麗だけど、絵やグラフィックに使うとダサくなる配色だ…」と、虹色と創英角ポップ体を多用してしまったいわゆる「ダサい広告」を彷彿とさせる難しい配色で、LGBTq+当事者でもあるものの、どうしてもマイナスなイメージを抱いてしまう。

だが「虹は1色ではない」「色の多様性から人間の多様性を象徴する」という、虹色でしか表現できない意味がレインボーフラッグにはある。
- ピンク…セクシュアリティ
- 赤…生命
- オレンジ…癒し
- 黄色…太陽
- 緑…自然
- ターコイズ…芸術
- 青…調和
- 紫…魂
↑これは8色あったときの元祖・レインボーフラッグを作ったときに考えられた色の意味だよ。
今は印刷の都合上6色になったけど、これらの意味は引き継がれているんだ。
ここで重要なのは、虹色それぞれの意味が「人類全体に共通する、大事なモノ」を象徴している点だ。
LGBTq+はそうでない人たちと、対等な共存を目指しているのだ。
最近のレインボーフラッグはダサくない!?

今年のプライド月間で感じたのだが、LGBTq+について考えることが一般的になってきたからか、とてもオシャレなレインボーフラッグ・レインボーを使ったオシャレなブランド広告・アイコンが増えた。
やはりオシャレで視覚的に良いものは、人々に受け入れられやすい。
「LGBTq+の人は普通に存在するし、みんなLGBTq+について考えよう」というのが人権運動の取っ掛かりなので、このレインボーフラッグがオシャレになる動きは、僕にとっても人類にとっても良い動きだと感じた。
「レインボーフラッグって象徴する意味は良いんだけど、どうしても見た目がダサくて…」
そう避けてきた人も、現在のレインボーフラッグの多様さ・オシャレさを目にすれば、なんだか可能性が見えてくる感覚になるのではないだろうか。
LGBTq+に関する旗と種類
ではここから、レインボーフラッグ以外のLGBTq+関連の旗を見ていこう。
日本が日の丸であれば、ここからはそれぞれの都道府県や市町村の旗のようなものだ。
トランスジェンダーの旗

トランスジェンダーは「身体的性と性自認が一致していない人(身体と心の性が一致していない)」の意味だ。
広義ではトランスヴェスタイト(身体的性と性自認は一致、その上でファッションなど性表現を異性にする人)も含まれる。
旗は水色・ピンク・白で構成されていて、それぞれが「男の子」「女の子」「どちらでもない性・移行中の人」を象徴している。
余談だが、僕もこの作品で、トランスジェンダーの旗の色を意識した配色をしていたりする。

ゲイの旗
実はレインボーフラッグは元々はゲイの解放運動のために作られたものだった。
1900年代後半は、「セクシュアル・マイノリティ=ゲイ」だったからだね。
なのでゲイの場合はLGBTq+全体を指すレインボーフラッグや、あるいはゲイの中でも細分化したベアフラッグ、または有色人種も含めた意味を持つバージョンのレインボーフラッグ(後述)を使ったりしている。

レズビアンの旗

レズビアンの旗はオレンジから紫までのピンクのグラデーションによって構成されている。
「オレンジは独立」「ピンクは静けさと平和」「薄いオレンジはコミュニティ」など、女性やレズビアンにまつわる色んなイメージを表現したものだ。
レズビアンもまた歴史のあるセクシュアリティなので、他にも色んなデザインが数種類存在している。
バイセクシュアルの旗

バイセクシュアルの旗は3色構成で、ピンク・紫・青と並んでいる。
- ピンク…性的指向(恋愛対象)が同性に向いている人
- 青…性的指向が異性に向いている人
- 紫…性的指向が両性に向いている人
「3色」といったが意味的に考えると、ピンクと青の2色が重なって、紫ができていると考えられる。
パンセクシュアルの旗

パンセクシュアルとは、「好きになった人が恋愛対象」というように、恋愛・性愛対象に前もって性別などの条件をつけない人のことを言う。
- ピンク…性的指向が女性に向いている
- 黄色…性的指向がノンバイナリー(性別という概念を持たない人)・Xジェンダーに向いている
- 青…性的指向が男性に向いている
この黄色の定義が、パンセクシュアルが先述したバイセクシュアルとの相違点だと分かる。
アセクシュアルの旗

アセクシュアルとは、人に対して恋愛感情・性的欲求がわかないアイデンティティだ。
- 黒…アセクシュアル
- グレー…グレーアセクシュアル(性的欲求をごくわずかにしか感じない人)・デミセクシュアル(基本的に性欲は感じないが、強い愛情や友情を持ったごく限られた相手には、性的欲求を抱く場合もある人)
- 白…アライ(LGBTq+に理解のある人、理解しようとしてくれる人)
- 紫…コミュニティ
アンドロセクシュアル・ウーマセクシュアルの旗

アンドロセクシュアルは自分の性別関係なしに、性的指向が男性を向いている人を指す。
ヘテロセクシャル(異性愛)でもゲイでもバイセクシュアルでも、あるいは自身がXジェンダーやノンバイナリーで異性とも同性とも言えないときにも、「男性を好き」というなら当てはまるアイデンティティだ。

ウーマセクシュアルは自分の性別関係なしに、性的指向が女性を向いている人を指す。
こちらも同様に、ヘテロセクシャル・レズビアン・バイセクシュアルなどの性的指向、Xジェンダーなどの性自認問わず、「女性を好き」なら当てはまるアイデンティティだ。
ノンバイナリーの旗

ノンバイナリーは、身体(生まれたときの戸籍)の性別、性自認(自分をどの性として認識しているか)、性的指向、性表現などを、性別というくくりに当てはまること自体にしっくりこない・自身を当てはめないアイデンティティだ。
また、日本以外では「Xジェンダー」(男性、女性と並ぶ第三の性)もまたノンバイナリーの中に含まれたりするので、「ノンバイナリーの旗」といっても、正確には「ノンバイナリーとXジェンダーの旗」と考えた方が良さそうだ。
旗は4色構成で
- 黄色…性別が二項対立の外にあり、二項対立に関係がない存在の意味
- 白…たくさんの性、または全ての性を持つ人を意味する
- 紫…男性と女性の間の性、または男性と女性のミックスされた性を持つ人を意味する。他にも性自認が流動的な人、独特な性自認の人も含む。
- 黒…自分には性別がないと自認している人を意味する
インターセックスの旗

インターセックスは身体的性、つまり生まれたときの身体の性が男性とも女性とも区別しづらい見た目を持つ人のことを言う。
円があるのが特徴だが、これは切れ目がない・飾りがないことから、全体性と完全性を意味し、さらにはインターセックスの人の可能性を表している。
プログレス・プライドフラッグ

レインボーフラッグは歴史的に言うと、「白人のゲイの人のためのもの」として生まれた。
現在では意味が拡張して「LGBTq+の旗」という認識が広まっているものの、やはりアメリカのトランプ政権時代の「白人の同性愛者でないマイノリティなんて知らねぇよ!」とされた傷を全く引きずらないことはできない。
そういう意味で、「プライドフラッグがトランスジェンダーや有色人種を含められるようにするには、どういうデザインが良いだろう?」とデザイナーが新しく考えた結果、2018年、レインボーフラッグに黒・茶色、そしてトランスジェンダーフラッグをミックスさせるというものが誕生した。

黄色人種的に「黄色はー…?」と言いたくなるものの…
元々のレインボーフラッグでも、デザイン上では人種の差別はなかった。
でも実際生活を送っていると、「同性愛者が優遇されてるなー…」「白人が優遇されてるなー…」「同性愛者ではないマイノリティって、有色人種のLGBTq+って、無視されてない?」という実感があったのだろう。
なので新しいデザインが必要な人がいたのだ。
結果的に、元のレインボーフラッグを使っても、このプログレス・プライドフラッグを使っても特定の何かを差別するという意味合いはないので、皆さんは好きな方を使って大丈夫だ。
ストレート・アライの旗~LGBTq+でない人でも「人権を大切にしている」と表明できるシンボル~

「LGBTq+ではないけど、LGBTq+について理解したいし、そもそも差別って意味ないよね」
と考える人を「アライ」という。
LGBTq+の当事者からすると、「この人・団体はLGBTq+ではなくても差別をしてこない、セーフティ・ゾーンなんだ」という安心感を得られるのだ。
ということで、それを一目で示すことのできる旗・ストレート・アライ・プライドフラッグというのをご紹介しよう。

ストレートというのは「LGBTq+ではない人」の意味で(注・現在では「LGBTq+ではない人」を「ストレート」と称するのはどうなの?という意見も多いので、ここはさらっと流して、短く「アライです」と言った方が良いかも)、アライは「協力者」の意味だ。
黒・白は「ヘテロセクシャル、かつ、シスジェンダー(身体的性と性自認が一致)の人=LGBTq+ではない人」を意味し、それがレインボーフラッグと共存している様子がデザインされている。
レインボーフラッグはLGBTq+だけのものではなく、LGBTq+もそうでない人も対等に共存できて、初めてレインボーフラッグの目的が達成できるのだ。
まとめ

今回はレインボーフラッグを始めとした、LGBTq+関連の旗の種類と意味についてお話してきた。
ここに紹介したのは一部で、他の種類のアイデンティティの旗もたくさんあったり、あるいは同じアイデンティティでも他のデザインが何種類かあったりする。
どの旗を持ちたいか、あるいは新しいデザインを作るかは、けっこう自由だ。
興味があれば調べてみてほしい。

トランスジェンダーフラッグは「青が男の子」「ピンクが女の子」というジェンダー観がどうしても気になるが、「旗」として持ったら、どんな性自認の人でも「青」も「ピンク」も「白」も同時に持つことになって、逆にジェンダー観を壊そうとしているのかも??
なんて深読みができたりして楽しい。
ピースマークのように、レインボーフラッグやその他の旗もオシャレなデザインとなって、その意味と一緒に広まれば良いな、と思う。