こんにちは、Miyabiだ。

ここ数年、ネット上で「カエル化現象」という言葉を見かけることが多くなったなぁ、と感じている。

カエル化現象って童話「カエルの王子様」が由来の、アレ?

そう、恋愛において「片思いしてたときは良かったんだけど、いざ向こうから好意を向けられたら嫌になる」という現象のことだ。

実は人間のセクシュアリティには、ヘテロセクシャル(異性愛)・ゲイ・レズビアンなどの「どんな性の人に恋愛・性愛感情を抱くか」他に、リスセクシュアル・リスロマンティックなどの「どんな恋愛の在り方か」というものがある。

今回は「カエル化現象」をセクシュアリティとして説明するならどうなるか、リスロマンティックやリスセクシュアルとはどんなセクシュアル・アイデンティティかについてお話していこう。

カエル化現象=リスロマンティック?

カエル化現象に近いセクシュアリティといえば、リスロマンティックだろう。

聞きなれない言葉だね。

リスロマンティックとは「Lithromantic」と書いて、「人に恋愛感情を抱くけど、その相手に恋愛感情を抱かれるのは望まない」というタイプのことを言う。

似た言葉で「リスセクシュアル」もあるが、こちらは「人に性的な感情を抱くけど、人から性的な感情を抱かれたくない」というタイプだ。

ロマンティック?セクシュアル?

「ロマンティックって?

夕日の沈む海辺とか、100万ドルの夜景とかじゃないのに、何でロマンティックってつくの?」

そう思った人もいるだろう。

性とか性別とかについて話しているから「セクシュアル」は何となくしっくりくるけど、ロマンティックって何だろう?

ロマンティックとはここでは「恋愛指向(Romantic Orientation)」のロマンティックのことを指す。

ヘテロセクシャル・ゲイ・レズビアンなど、どの性に対して恋愛感情・性的欲求を抱くかというアイデンティティについてを「性的指向」という。

リスセクシュアルも「性的指向」に入る。

一方でリスロマンティックは「恋愛感情」のみのアイデンティティであり、性的欲求については何も言っていない。

「性的な関係も嫌」「プラトニックがいい」という人もいれば、「恋愛感情を向けられたくないけど、性的な関係になるのは構わない」という人もいる、ということだ。

なのでリスロマンティックは「ロマンティック」、つまり「恋愛指向」に入る。

アセクシュアル・ノンセクシュアルとの違い

同じく恋愛感情や性的欲求に関するアイデンティティにアセクシュアル・ノンセクシュアルがある。

プラトニックな関係…みたいな話だと、リスロマンティック・リスセクシュアルとアセクシュアル・ノンセクシュアルってなんか似てる気がするよね。

アセクシュアル・ノンセクシュアルとは、

  • アセクシュアル……どの性に対しても、恋愛感情・性的欲求を抱かないアイデンティティ
  • ノンセクシュアル……ヘテロセクシャル・ゲイ・レズビアンに関わらず、恋愛感情は抱くけれど、性的欲求は抱かないアイデンティティ

詳しくはこちらの記事を参照してほしい。↓

見た感じ、ノンセクシュアルがリスセクシュアル・リスロマンティックと似てる感じするね。

確かに「好きだけど付き合いたくないな」と思ったり、カップルを見て「付き合ってるのに、まだしてないの?」と疑問を感じたりすると、ノンセクシュアルなのかリスセクシュアル・リスロマンティックなのかごっちゃになったりするだろう。

1番の違いは、ノンセクシュアルやアセクシュアルが「性的欲求はわかない」「恋愛感情がわかない(ので、その先の性的欲求もわかない)」自分で線引きしているのに対して、リスセクシュアルやリスロマンティックは「性的欲求/恋愛感情はわくけど、相手から性的欲求/恋愛感情を抱かれるのは違う」自分と相手の度合いに線引きしている点だ。

ノンセクシュアルの「恋愛感情はわく」「性的欲求はわかない」というのは、相手からも恋愛感情を抱かれても不快にならない、でも性的な接触はNGということになる。

リスセクシュアル・リスロマンティックは基本的に返ってこないことを期待している。

リスセクシュアル・リスロマンティックの「度合い」

ここで1つ疑問が出る。

「リスセクシュアル・リスロマンティックって、どの辺からどの程度NGなの?」

「両想いになりたくない!」なのか、「両想いでもいいけど、こっち以上に好きになられたら困る」なのかとか、どこが線引きポイントなんだろう?

美少年くんの言うように、線引きのポイントが気になる人もいると思う(僕が気になった)。

実は先ほどリスロマンティックと恋愛指向のところで「プラトニックがいい人もいれば、恋愛は無しで性的関係だけオッケーの人もいる」と話したように、線引きのポイントは同じリスロマンティック・リスセクシュアルでも人によって変わってくるのだ。

具体例をあげてみよう。

リスロマンティックの人の線引きポイント

まずはリスロマンティックの人について見てみよう。

何個当てはまるかの「チェックポイント」じゃなくて「色んな線引きをする人がいて、そのポイントの1例」なので、ゆるく見てみてね。

  • 性的な関係が嫌な人もいれば、恋愛がないならオッケーの人もいる。
  • 好きになっても、付き合いたいと感じない。
  • 付き合うことに嫌悪感を感じる。(↑上の場合は「好きだけど付き合いたくはないかな」くらいも含むが、これは「無理!!」くらい。同じ「付き合うのは嫌」でも拒否感が人によって違う)
  • 付き合うことになったら、「この人が好き」という思いが消滅する場合がある。(思いが消滅はしないけど、「付き合う」っていうのが違うな、と感じる人もいる)

「カエル化現象」がリスロマンティックなのか?というテーマで調べ始めてみたが、このように同じリスロマンティックでも程度が人によってけっこう変わる。

カエル化現象は、リスロマンティックでも「相手に好かれたとたん、気持ち悪くなった」「付き合うとかゾッとする」という拒否感の強いタイプと言えるかもしれない。

(カエル化現象は「恋愛が怖い」「自分なんか好かれるわけがない」「自分を好きとか美人局?」など、自信のなさに由来することもあるので、「カエル化現象=リスロマンティック」ではない。

もしカエル化現象で悩んでいるなら「自分に自信がないから?それとも自信があってもアイデンティティとしてあるのか?」というポイントで考えてみると良いだろう)

リスセクシュアルの人の線引きポイント

リスセクシュアルは好きな人に好意を向けられても大丈夫だが、性的な関係を求められたくない、というセクシュアリティだ。

  • 性的な関係を向けられた場合、自分が相手に抱いていた性的欲求が消滅する場合がある。
  • 性的な関係を向けられたときに嫌悪感を抱く場合がある。

この他にも「性的欲求」「性的な関係」がどこからなのか、という違いもある。

ある人は「セックスが無理」という場合もあるし、「手をつなぐ」「ハグ」からの場合もある。

リスセクシュアルが恋人のことを本気で好きでも、性的な関係を持てないことでパートナー間でのトラブルが起こったり、お互いの理解があっても「何でまだしてないの?」「本当は好きじゃないんじゃないの?」と第三者から言われてしまったり、ということがあるらしいよ。

美少年くんの言うような、このあたりのトラブルはノンセクシュアルと同じく起こる可能性がある。

なのでパートナーとはお互いの価値観をはっきりしておくと「性的な関係を持ってくれない=好きじゃない」などの勘違いからのトラブルを防ぐことができる。

まとめ

今回はリスロマンティック・リスセクシュアルについてお話してきた。

このリスロマンティックやリスセクシュアルというのは「どういう恋愛のしかたか」に関わるアイデンティティなので、自身や相手の性自認に関係なく持ち合わせる可能性がある。

「性自認」は自分をどの性として認識しているか、のことだね。

ヘテロセクシャルでも、ゲイでも、レズビアンでも、あるいは他の性的指向でも、あなたが女性でも男性でもXジェンダーでも、あるいは他の性自認でも、リスロマンティックやリスセクシュアルの価値観である可能性があるのだ。

いずれにしても価値観や認識を確認しておくと、お互いのトラブル防止になるだろう。

「2人きりで食事なんて浮気だ!」「いや、手つないだとかじゃないし浮気じゃないよ!」「言い訳だ!」のようなケンカは、事前に「どこからが「浮気」だと思う?」とお互いの定義確認をしておけば、「手は繋がないようにしよう」「仕事上2人きりの食事になるときは、事前に説明をしておこう」など防ぐことができる。

これと似ていると思った。

過去に「プラトニックラブの由来とは?」という記事も書いているので、良かったら見てみてほしい。↓

また「他の価値観を理解する」という意味で、「アライ」の記事も見てみてほしい。↓