
こんにちは、Miyabiだ。
このサイトはLGBTq+の情報を、僕がトランスジェンダーでありアート作家であることから、経験談や世界のアート作品にからめてLGBTq+の当事者の人・周りの人に「自身の存在の肯定をしてほしい」という目標を目指して書き続けている。
そして、そのメインジャンルの1つとなってきたのが、古代ギリシアだ。
古代ギリシアでは男性の同性愛や、男性美の称賛が目立つよね。
そう、古代ギリシアでは「LGBTq+の歴史」とは少しずれるものの、男性の同性愛的価値観が文化に取り込まれている部分がある。

それゆえに、古代ギリシアのアートというのは、他の時代や地域と「一味違う」と見なされてきた。
今回は古代ギリシアの男性美と、古代ギリシアやその価値観についての記事がこのブログでも増えてきたので、そのリンク集をまとめようと思う。
リンク集だけを見たい方は、下の「目次」から「 古代ギリシアに関する記事へのリンク集 」をクリックしてね。
目次
古代ギリシアの男性美とは?
彫刻を見ると、当時の美が分かる

「彫刻」といえば、「ミケランジェロのダビデ像」や「ミロのヴィーナス」がパッと思い浮かぶだろう。
ミロのヴィーナスは半裸、ミケランジェロのダビデ像は全裸であることから、「人間を彫った彫刻って裸が多い」というイメージになっている。
事実、明治に開国して西洋美術を輸入して以降、日本でも「権力者の騎馬像」と「一般人の裸体像」が彫刻として作られ、今では駅前などでよく見られる。
そういえば「彫刻」って人間しか彫っちゃいけない、みたいな基準があるの?
人間像ばかりみたいだけど。
美少年くんの言うように、「彫刻」と聞いたら絵画と違い「人間像」というイメージがある。
実はここまでに言ったこと、全部が古代ギリシアのアートに起因しているのだ。

古代ギリシアでは「人間」=「神さまが自分の姿を模して作ったもの」と考えられ、男女それぞれの「美しい」基準が考えられた。
特に男性に関しては、ギリシャ神話に登場する男性神のように、知と筋肉が必要とされたのだ。
そこから古代ギリシアの彫刻に「神さまたちはきっと、こういうすごい見た目」「こういう感じの見た目が、良い人間」というのが裸体像として刻まれていった。
時が流れ15世紀イタリア・ルネサンスで、古代ギリシアの彫刻が発掘され、それを学んだミケランジェロたちが裸体で制作、ここで西洋における「美しい彫刻」の価値観が一新されたのだ。
それが開国したての日本にも輸入されたってことだね。

日本では元々古代より仏像制作が続けられ、時代ごとに「美しい」の基準が変化し、静かな悟りの如来、上品な王子様の菩薩、はたまた激しい武将のような阿吽や風神・雷神などなど、色んな種類の仏像を制作してきた歴史がある。
現代ではフィギュアが「見た目の良い人間の彫刻」と言える。
日本は日本で、古代ギリシアのように美しい崇拝対象を作っていた。

20世紀以降のアート史ではこういう非西洋圏の美術も「アート史」として扱われ、村上隆のフィギュア彫刻なども有名だ。
彫刻は人間以外も彫られているし、なんならボイスという人の提唱した「社会彫刻」という、「全ての人間が未来の社会を彫刻する(だから意識的になろう)」という概念が彫刻になったりもして、多種多様だ。
その中でも古代ギリシアの彫刻というのは、「人間の美」「人間彫刻の美」に大きい意識変化を起こした、重要なものと言える。
服を着ない美?

僕が最近見た、古代から21世紀までのアート史をまとめた図鑑に「古代ギリシアの美の特徴は、力のある者が裸体ということだ」とあった。
確かに、全裸というのは「弱みをさらけ出している」状態だ。
古代オリンピックでは全裸だったように、捕虜になったわけでもないのに「弱みをさらけ出している」状態になっているのだ。
日本なら裸イメージの多い江戸時代まででも、14歳で元服したら男性はふんどしをギュッと締めて気合いいれる、といった感じで、ふんどししていないのはむしろ「気合いが抜ける」「元服していない=子どもっぽい、あるいは女っぽい」とされていた。

ところで古代ギリシアでも、日常生活ではちゃんと服を着用している。
なので裸体の多くはアート作品におけるイメージだったと考えられる。
古代オリンピックで全裸だったのは、現代のオリンピックとは違って、ギリシャ神話的な宗教行事であったこと、神々の前で競技をやっている意識があったことからだ。
じゃあ「服を着ない美」っていうのは、あくまでアート作品の表現の考え方ってことかな?
日常生活だけを見るならば、そうだと感じた。
というよりも、誰も彼もが「神さまのような裸体」を持っているわけではないので、知的かつ筋肉ムキムキな男性がいたら「神さまのようだ!」「美しい!」となったし、オリンピックに出るような男性、戦闘で功績のある英雄の見た目がその価値観に当てはまった、と考えれば、「現実に即している」とも言える。
古代ギリシアに関する記事へのリンク集

↓「古代ギリシア=男性の同性愛」と言われるゆえんや、実際の古代ギリシア少年愛についてまとめた記事。
古代ギリシャの同性愛・少年愛~自由恋愛とは程遠いながらも期間限定の確かな交際 – 画家美少年ラボラトリイ (miyabistarr.com)
↓ギリシャ神話に関する記事
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