
こんにちは、Miyabiだ。
突然だが、あなたは「同性愛」と「ゲイ」「レズビアン」という単語の違いをご存知だろうか?
えーと、どっちも同性が恋愛対象なんだよね。
んー……、単語だけ見ると性別がはっきりしているか、していないかの違いがあるね。
あと日本語か英語か、かな。
確かに美少年くんの言うように、「同性愛」という単語は男女とも使えて、「ゲイ」は男性、「レズビアン」は女性という具体的な性別が存在している。
だが実は、「同性愛」と「ゲイ」「レズビアン」の違いは、それだけではないのだ。
今回はこの「同性愛」と「ゲイ」「レズビアン」の単語的な違い、また「同性愛」を英語ではどう言うの?ということを紹介していこう。
目次
「同性愛」=「ゲイ」「レズビアン」??

「ゲイ」「レズビアン」という言葉は、20世紀に入ってから作られた言葉だ。
それまではセクシュアル・マイノリティは区別なしに「クィア(風変わりな、奇妙な、の意)」と呼ばれてきた歴史がある。
現在では「クィア」も嫌な意味が抜けて、当事者が使っているね
LGBTq+に含まれる「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」などの名称は、「クィア」でひとまとめにされていたアイデンティティを具体的にしていく上で作られていった。
日本では昔から「同性愛」という言葉があった。
主に男性同士ではあるが、同性で恋愛する文化があったからだ。
では「同性愛」と「ゲイ」「レズビアン」は、イコールになるのだろうか?
同性愛とは?

では1つずつ見ていこう。
まず「同性愛」とは、自分と同じ性の人に対して恋愛感情・性愛感情を抱くことで、このような人を「同性愛者」と言ったりする。
ここで1つ問題がある。
「自分と同じ性」とはいったいどの性のことだろう?

一口に「性」と言っても、僕らには「身体的性(生まれた身体の性)」と「性自認(自分をどの性で認識しているか、心の性)」とがある。
なので、身体の性だけで見ると「男女で異性愛」だとしても、どちらかがトランスジェンダー(身体的性と性自認が一致していない人)だとしたら「同性愛」となるのだ。

実際僕もトランスジェンダー男性でホルモン治療をしているので、戸籍の性別は身体的性のままでも、見た目や声は男性化している。
もし僕に男性の恋人ができたとしたら、戸籍だけを見ると「男女」あるいは「女女」でも、実際見ると「男性同士」という矛盾が出ることになる。
現在では身体的性よりも性自認を優先して、「同性愛」「異性愛」と表現するようになっていると感じる。
また、「同性愛」という言葉は見た通り「同性同士の恋愛」なので、男性同士・女性同士の他に、「Xジェンダー同士」でも使える名称と言える。
「ゲイ」「レズビアン」とは?

では「ゲイ」「レズビアン」はどうだろう?
ゲイ……性自認が男性の人が、性自認が男性の人を恋愛対象・性愛対象とすること
レズビアン……性自認が女性の人が、性自認が女性の人を恋愛対象・性愛対象とすること
「同性愛」の項目で「性自認に注目する」と言ったので、その続きのようなものだ。
ゲイやレズビアンも性自認の性が中心なんだね。
そう、性自認の性を見て判断するので、シスジェンダー(身体的性と性自認が一致している人)もトランスジェンダーも、その人の性自認でもって「ヘテロセクシャル(異性愛者)」「ゲイ」「レズビアン」などを判断する。
同性愛と異性愛という言葉

ここまで見ると、
「ゲイ」「レズビアン」って言葉はその人の特徴・アイデンティティについて言っているけど、「同性愛」って言葉はその人自体のことは言ってないな?
と気づくだろう。
実際、ゲイやレズビアンは「同性愛」の細分化と言うよりかは、「同性愛者」の細分化と言える。
一方で「同性愛」は、恋愛単位で使える単語となっている。
そういえばバイセクシュアルは「同性愛」って言うの?
「バイセクシュアル」は男性・女性のどちらも恋愛対象になるので、日本語にすると「両性愛者」と言う。
だが「3人1組の恋人関係」という価値観や、あるいは浮気性でない限り、2人1組のカップルとなる。
バイセクシュアルが男女両方が恋愛対象といっても、現行の恋人は1人、ということだ。

この場合、恋人が同性なら「同性愛」「同性愛関係」、異性なら「異性愛」「異性愛関係」と言える。
「同性愛」「異性愛」という言葉は思うに、状態を指しているのだ。
「同性愛関係」「異性愛関係」も同様だ。
もし「ゲイ」「レズビアン」のようにその人が持つ特徴として言うのであれば、「同性愛者」「異性愛者」、あるいは「同性愛男性・女性」「異性愛男性・女性」と言うと間違いがない。
その人に同性の恋人がいたら「同性愛」って言えるけど、「同性愛者なんだね」とまで言うと「いや、異性も恋愛対象になるから同性愛者ではないんだけど…」ってちょっとモヤッとなるかも……
って感じかな?
文脈や言葉を使う人の考え方によっては「同性愛」「異性愛」という単語を「同性愛者」「異性愛者」と同じ意味で使うものもあるかもしれないが、バイセクシュアルのこと、または「ヘテロセクシャル(あるいはゲイ・レズビアン)だと思ってたけど実はバイセクシュアルだった」ということを考えると、意味を分けて考えると良いのではないかな、と感じる。
また、「同性愛」「異性愛」は状態、と考えると、バイセクシュアルが結婚をするときに「両性結婚」とならずに「同性婚」「異性婚」と分類されるのに納得がいく。
同性愛者を英語で言うと?

ゲイやレズビアンは英語だ。
では同性愛者は何というのだろう?
性別を限定しないで「同性が好き」を表す言葉ってことだね
この場合、英語ではホモセクシュアル(homosexual)、またはホモロマンティック(homoromantic)と言う。
ホモというのはギリシャ語で「同じ」を意味するので、つまりホモセクシュアルは「同性に対して恋愛感情・性的感情を抱く」ということだ。
ホモロマンティックは、性的感情は無しに「同性に恋愛感情を抱く」アイデンティティを指す。
「ホモ」って差別用語じゃないの?

「ホモ」はゲイの蔑称と言われている。
これはゲイをからかうときに「ホモ」と言っていた歴史から、「ホモ」という言葉に悪い印象が付いてしまったからだ。
なので当事者・アライ関係なしに「ホモ」という言葉自体「なんか嫌だなぁ」「真剣じゃない感じに扱われてる」という印象を受ける人が多くいる。
で、こちらのホモセクシュアル・ホモロマンティックという言葉は、男性・女性・Xジェンダーなど関わらず、「自分と同性の人に恋愛感情(性愛感情)を抱く」というアイデンティティで、こちらが本来の使い方となっている。
なので「同性愛」「同性愛者」の英語として使いたいときは「ホモセクシュアル」「ホモロマンティック」と略せずに言う方がいいだろう。
「ホモ」と略するのは、本人が「自分を形容するには「ホモ」って言葉が一番しっくりくる」と自分で言っていて、「略して言ってもこの人はオッケーなんだな」と確認がとれたときだけにしておくと無難だ。
人に「ばか!」って言うのは失礼だけど、お笑い芸人キャラが「自分はばかだよ~」って言っているときは、むしろ「ばか」って言った方が良い……
みたいなことと考えると、分かりやすいかも。
まとめ

今回は「同性愛」と「ゲイ」「レズビアン」の違いから、「同性愛」という言葉について見てきた。
「同性愛」という言葉は歴史が長い分、意味がとても大まかになっている。
なので「「同性愛」って書いてあるけど、それはどういった意味で……?」という状況が少なくない。
言葉は使われれば使われるほど、時代に合わせて変化していくものだ。
僕が小学生の頃に国語で「「まったく」「全然」ときたら「~ない」じゃないと不正解!」と言われていたが、「全然大丈夫!」と普通に使うし、何より江戸時代の手紙を見ると「まったく~である」のような用法で使われていたのをたくさん見たので、「小学校の国語で習ったのはなんだったんだ……?」と思ったりする。

きっとどこかの時点で「これが正しい日本語!それ以外は正しくない!正しい日本語を学校で教えること!」として「まったく~ない」「全然~ない」が教えられたのだろう。
このように上から強制的に決められて言葉が変化する場合と、自分たちで使っていって変化させる場合とがある。
「純日本語です」という顔をして実は戦国時代に輸入されてきたオランダ語、という日本語も数多い。
そんな日本語の変化の1つとして、LGBTq+用語も紹介していきたい。