こんにちは、Miyabiだ。

このブログでLGBTq+情報もとい、トランスジェンダー情報をお伝えするときに、マジョリティ側で「シスジェンダー」という言葉をよく使っている。

自分の生まれてきた性別に違和感を持っていない人のことだもんね。
じゃあシスジェンダーってLGBTq+ではない人のことを言うのかな?

美少年くんの言うように、「シスジェンダー」というと「LGBTq+ではない人」という認識がされやすい。

だが実はそうではない、と言ったらどうだろう?

今回はシスジェンダーについて、シスジェンダーでLGBTq+の人ってどういう人?ということについてお話していこう。

シスジェンダーとは?

ではまず「シスジェンダー」という言葉について見ていこう。

シスジェンダーとは英語で「cisgender」と書いて、トランスジェンダー(transgender)の対義語として使用される。

意味は、生まれたときの身体の性別・戸籍上割り当てられた性別と自身の性自認が一致して、それに従って生きている人のことを言う。

身体の性別と心の性別が一致している人のことを言うんだね。

トランスジェンダーが生まれたときの性別と性自認が一致していない人のことを言うので、それに対するマジョリティ側を指す言葉として「シスジェンダー」が設定された。

シスジェンダーはマジョリティだからLGBTq+ではない?

ここまで見てきて

「シスジェンダーってマジョリティ側なんだね、じゃあLGBTq+ではないってことか!

と感じた人もいるかもしれない。

だが実はそうとは言い切れないのだ。

どういうこと?
だってLGBTq+ってマイノリティで、シスジェンダーはマジョリティなんでしょ?

そう、確かにLGBTq+はマイノリティであり、シスジェンダーはマジョリティである。

だが、同じベクトルではないのだ。

具体的に見てみよう。

例えばゲイやレズビアンなど、性的指向がマイノリティ側に属する人たち。

性的指向とは、恋愛感情や性的感情がどの方向を向いているか、向いていないか、という意味で、簡単に言えば「恋愛対象」である。

「ゲイ」は男性が男性に性的指向が向いている人、「レズビアン」は女性が女性に性的指向が向いている人のことを指す。

ここで注目してほしい部分がある。

「男性が」男性に、「女性が」女性に、という条件の部分だ。

「男性が」「女性が」ってところは、自分の性別のことだね。
……あ、これってもしかして性自認?

そう、「男性が」男性に、「女性が」女性にのカギカッコ部分は、恋愛(性愛)感情を持っている人自身の性自認のことを言っている。

つまりゲイならば、「(シスジェンダー男性・トランスジェンダー男性問わず、性自認が)男性の人が、男性に性的指向が向いている」ということになる。

レズビアンならば、「(シスジェンダー女性・トランスジェンダー女性問わず、性自認が)女性の人が女性に性的指向が向いている」、だ。

あ、「シスジェンダー」がいる!

そうなのだ、ゲイやレズビアンなどの性的指向のLGBTq+には、シスジェンダーがいるのだ。

まとめると、

  • 「シスジェンダー」は性自認のことで、「トランスジェンダー」に対するマジョリティ。
  • 「LGBTq+」はセクシュアリティ的にマイノリティの人を言う。
  • 性的指向が「ゲイ」「レズビアン」などのマイノリティであっても、性自認はマジョリティである「シスジェンダー」の人がいる。

ということだ。

ちなみに、「シスジェンダーだしLGBTq+でもないけど、LGBTq+の人を理解したい、味方になりたい」と思っている方もいるだろう。

「同じ人として助けたい」という素敵な思いをお持ちの方はこちらの記事も見ていただきたい↓

シスジェンダーの特権

トランスジェンダーの僕から見ると、「シスジェンダーは特権を知らず知らずのうちに持っているなぁ」と感じる。

そしてシスジェンダーは当たり前すぎて、それに気が付いていない。

例えるなら、学校で使う鉛筆が無くなりそうになったとき、友だちは「鉛筆なんて100円くらいでしょ、買えばいいじゃん!」って言ってくるけど、自分からすると100円でも家庭的に痛い出費……でも友だちは「買えるもの」って信じて疑わない……

という感じだろうか。

シスジェンダーの特権は、

  • 外で尿意を感じたら、すぐにトイレに行ける
  • 病院や美容院などで「お名前・性別欄などの記入をお願いします」って言われても、動揺せずに書ける
  • 医療費を抑えられる
  • 温泉やプールを純粋に楽しめる
  • 中学・高校で青春ができる
  • 親や友人などと絶縁の心配がない
  • 入院や引っ越しなどで、違う性別として扱われることがない
  • 海外旅行で逮捕や処刑の心配がない

などなど。

「特権」というには地味かもしれない。

もちろんシスジェンダーであっても、他の理由で上のようなことが叶わない人もいるかもしれない。

だがトランスジェンダーだとこれら全てをいちいち考えたり我慢したりする必要があるのだ。

Miyabiはいつも「普通の高校生活をしたい」って言ってるよね。

トランスジェンダーでも性別適合手術を終え、戸籍の性別変更を済ませたら、上記のシスジェンダー特権をまぁまぁ受けることができる。

だが、現状法律で戸籍の性別変更はハードルが高すぎるし、過ぎてしまった中学・高校時代や、「少年時代」「少女時代」は戻ってこない。

まぁ青春に関しては思い出補正もあるとは思うが、「シスジェンダーだったら楽々クリアできて、もはやクリアしてることに気づかないハードル」がとても高いのだ。

外で「トイレ行きたい…」となっても

  • 誰でもトイレが見つからない、見つかっても車椅子用で1室だけなので「車椅子の人が待ってたらどうしよう…」と震えながらトイレする
  • 生まれた身体の性別のトイレは精神的な抵抗がある(異性のトイレなので)。戸籍の性別変更してないので身分証的には正解だが、自分の見た目が異性なので通報の可能性があって震える
  • 性自認の性別のトイレが良いが、戸籍の性別変更してないので、通報されたときに厄介で震える
  • 飲食店とか美容院とかの、性別関係なしの「お手洗い」が一番気が楽。でも少ない。

という悩みが毎回生じる。

生理現象だから「行かない」という選択肢はできない。

…ということをシスジェンダーは考えなくても良い。

これが「シスジェンダーの特権」だ。

まとめ

今回がシスジェンダーについてお話してきた。

マジョリティと言われるシスジェンダーだが、必ずしも「LGBTq+ではない」わけではないこと。

普通に生きていると気づかないけど、シスジェンダーには実は特権があったということ。

この2点についてご紹介しておきたくて、この記事を書いた。

「日本で育った人にしかオノマトペは理解できない!オリジナルのオノマトペを作れない!」ということを知ったときに「確かに、「部屋がぐちゃらーんってしてる」みたいに言ってなんとなく通じる特権ってあるなぁ」と思ったのを思い出した。

日本語を話す上でオノマトペを制限されると、会話でオノマトペで何とか伝えようとする僕は困ってしまう。

サラサラ、カリカリ、ガリガリ……たった4字で印象が変わるオノマトペは便利

当たり前なことは、「当たり前ではない人」に指摘されないと本当に気づけない。

気づけなくても仕方がない。

これはLGBTq+というマイノリティを持つ僕でも、だ。(日本に住む日本人というマジョリティでもあるからオノマトペマジョリティ)

でも気づいたら、視力がぎゅんっと上がったかのように、世の中の見え方が変わってくる

そういうことで、「これ当たり前じゃないなぁ」とLGBTq+関連で感じたときに、このブログに書いていこうと思うし、「こんな世界の見え方があるよ」と示すアート作品を創っていきたいと思う。