
こんにちは、Miyabiだ。
MTFの方で「メイクを始めたいな」と思っている方も多いだろう。
パス度を上げるにも化粧ってすごく使えるよね。
とはいえ
「何から入ったら良いか分からない!」
「どこを意識すれば、良い感じになるんだろう…?」
という悩みがあると、なかなか次のステップに踏み出せないのも事実だ。
今回はメイクデビューをしたときによく起こる失敗と、MTFの方が初めてメイクするときに頭に入れておくと良いことについてお話していこう。
目次
化粧はすぐに上手くならない

僕自身はFTMだが、大学を卒業するまでは女の子として生きてきた。
同時に顔面にコンプレックスがあったので、化粧自体は高校生の頃からやっていた。
けっこう長い期間メイクしてたんだね…
そう、そこで今メイクをしていた時代を振り返ってみて感じることは
化粧はすぐに上手くならない
ということだ。
「お化粧をすればすぐに理想の姿になれる!」と思っている方は、少しこちらを見てほしい。
【よくある失敗】1、化粧品の特徴や質を間違える

「ラメのたくさん入ったアイシャドウを使うぞ!」と朝、気合を入れてメイクをしたら、夕方にはラメが大量にまぶたから頬に落下していた……なんてことはザラだ。
あるいは雨の日に水溶性のメイクをして、ドロドロに溶けてしまったという失敗もある。
これらは買った化粧品の質の問題、あるいは使う化粧品の特徴を選び間違えて起こったことだ。
ラメ入りのアイシャドウには、ラメがずっとまぶたに付いたまま過ごせる「質の良いもの」と、ラメがすぐ剝がれて頬に落ちる「質の悪いもの」とが存在する。
そして必ずしも「値段が高いから質が良い」「値段が安いから質が悪い」というわけでもない。
実際に使ってみての経験と、他の人の口コミで判断すると良いかも。
また、化粧品には「水で落とせるもの」と「ウォータープルーフ」とがある。
どちらも良い点・悪い点が存在するが、雨の日にはウォータープルーフを使うとドロドロに溶けずに済む。
【よくある失敗】2、あの子が似合うから自分も……

有名人や憧れの人、友だちが使っていて似合っている化粧品やメイク方法は、自分も取り入れたくなってしまう。
とはいえ、その人たちが似合っているからといって、自分も完ぺきに似合うとは限らないのも事実だ。
これは「顔面偏差値」の問題というよりかは、顔やパーツの特徴によることとなる。
丸顔美人のメイクが、必ずしも面長美人に似合うとは限らない。
顔のパーツが寄っている人と離れている人とでは、メイクの仕方が変わってくる。
あるいはここ数年で一気にメジャーになった「イエベ(イエローベース)」「ブルベ(ブルーベース)」のように、自分にとって血色が良く見える色味の違いもある。
化粧によって、「自分の顔のどんなところを解決したいか」「自分の顔のコンプレックスを長所にできないか」といった目的があると、似合うメイクに近づきやすいよ。
【よくある失敗】3、すぐ上手くなる

絵を描くにもスポーツをするにも、良い練習をして、それを続けた人が「上手」「天才」と言われるようになる。
メイクも同じだ。
「初メイク」が少女漫画のように上手くいくようなことは起こらない。
似合うメイクの研究や、化粧品ごとの特徴を踏まえたメイクなど、研究と実戦練習を繰り返すのだ。
僕もメイクし始めの高校時代の写真を見ると「化粧、似合ってない…」と残念な感じだが、大学時代の写真は「化粧、マシになってる」と成長を感じる。
なので最初は、「今日は誰にも会わない日」にコッソリ練習を始めると良いだろう。
【よくある失敗】3つ話してきたけど、つまり「道具の研究」「自分の顔の研究」「研究をもとに練習しまくる」をすると良くなるってことだね。
MTFのメイク

FTMの僕がMTFの方のメイクについて話すのも無茶苦茶な感じがするが、どの体で生まれようと、どの性自認であろうと、結局は
- 自分に一番似合うメイクであること
- 他人から「下品…」「むしろメイクしない方が良いのでは?」と感じられないメイクであること
- TPOを守ったメイクであること
が重要だと感じる。
1,目的・目標を決める

MTFの方のメイクの目的は、「わくわく」といった楽しみであることの他に
女性であることを他人から認識されること
というのもくっついてくるのだと思う。
この大きな目的を踏まえて、あなたがメイクするときの小さな目標を決めると良いだろう。
鏡をぼんやり見て、「自分は面長だな」「自分は丸顔だな」といった顔の形の特徴と、「目が鼻筋から離れているな」「口の幅が両目の幅に対して短いな」といったパーツとパーツの相対関係をざざっと洗いだす。
「二重だったら良いな」「頬っぺたがふっくらしてたら…」といったコンプレックスではないので、注意してね。
そうすると、自分の顔の特徴やパーツ同士の相対関係が似ている芸能人や有名人を探しやすくなる。
彼ら彼女らのメイク方法を指針として、取り入れられそうな部分を取り入れるのが小さな目標となる。
これで「丸顔なのに面長の人のメイクを参考にする」といった遠回りをせずに済むのだ。
2,ベースを調える

メイクといったらアイメイクやリップが目立つし、楽しい部分に感じる。
だがそれらを支える基礎部分もしっかりしていないと話にならない。
まずはヒゲや眉毛などのムダ毛をしっかり対処するのがスタートだ。
シスジェンダー女性も「顔の産毛を処理してからの方がメイク乗りが良くなる」とのことなので、MTFの方も同じと考える。
また、ヒゲが濃い方の場合、そのまま女性っぽいメイクをすると典型的な「女装している男性」として他人に認識される恐れがある。
これを避ける意味合いもある。
肌の方も似ていて、FTMの僕が男性ホルモン治療を始めたとき肌質が少しずつ変化してきた。
ということは言い方キツイかもしれないが、ホルモン治療をしていないMTFの方は多くの場合シスジェンダー女性とは違う肌質の可能性がある。
これらのことから、コンシーラーやファンデーションなどのベースメイクの研究がかなり重要な工程といえるのだ。
ベースさえしっかりしていたら、その上に乗せるチークやアイメイク、リップなどは1で決めた自身の目標に合わせて化粧できるね。
3,TPOを守るのは意外と大事な部分

リップやアイシャドウなどの実践的な部分は、その人その人のお顔の特徴などに合わせるのが大事になり、ここでは一気に話せない。
なので、ここではTPOが大事だという話をしていこうと思う。
TPOはご存知の通り、Time(時)、Place(場所)、Occasion(場合)のことだ。
MTFの多くの方は、メイクを日常使いしたいと思っていると思う。

その中でもインスタグラムなどでフォトジェニックなキラキラメイクを見ると「自分もやりたい!」となる。
あるいは「自分は赤のアイシャドウがアイデンティティだから」というこだわりも生まれることもある。(シスジェンダーでもよくある話だ)
アーティストならばそれでも良いのだが、例えばそれで会社に行くと「もうちょっとマシなメイクないの?」と言われかねない。
もちろん「もっとビジネスライクな感じ」「自社イメージに合う感じ」というのが正しいが、「LGBTq+だから」という1枚の壁が生じることで
「LGBTq+の人の化粧について言ったら、訴えられるのかな?」
「これだからLGBTq+は…」
と、どんどん違う方向に行ってしまうかもしれない。(実際こういう内容を知恵袋などに書いてあったりする)

「自社イメージに合うように化粧してください。キラキラメイクは会社以外でお願いします」
「分かりました」
で済む話なのに、こじれてしまったり、LGBTq+の居場所がなくなってしまうのは悲しい話だ。
なので「メイク」ととらわれずに、
「今日はこういう予定があるから、こんな感じのメイクで行こう」
と、「自分に似合うメイク」にプラスして「今日の予定に似合うメイク」についてもアイディアの内に入れておくと、あなたのメイクはさらに良くなるだろう。
あなたの魅力は1つだけではない。
TPOに合わせても、似合うメイクさえできれば魅力は減らないので安心してほしい。
失敗すると恐ろしいけど、成功すると「ビジネスライクな自分」「可愛い自分」「綺麗な自分」などなど色んな面の魅力を引き出すことができるのも化粧の良いところだよ。
↓こちらの記事は異性装についてのもので、トランスジェンダーとは違うが、ジェンダーとファッションについても書いてあるので興味があれば是非。
↓こちらはホルモン治療や性別適合手術など「医療行為からアプローチしていきたい」と思ったときに、どういう道筋を辿ればいいかについて書いてある。
まとめ

今回はMTFの方のメイクについてお話してきた。
「自分に似合うメイクなんて分からない!」という場合、自分で雑誌やSNSなどで研究する他に、LGBTq+を応援する会社やジェンダークリニックで「MTFのためのメイク講座」をやっているところもある。
参考にすると良いかもしれない。
僕は油絵を描くが、「水で絵の具を解いてはいけない」「油絵の具の上にアクリル絵の具を重ねてはいけない」という制約がある。
これは「やってしまうと、絵が剥がれてしまう」というリスクがあるからだ。
メイクはこれと似ている。
油絵でどんな絵を描いても自由だけど、やってはいけないことをやると絵そのものが崩壊してしまうので注意。
どんなメイクをしても自由だけど、ベースメイクがしっかりしていない・雨の日にウォータープルーフの化粧品を使っていないなどがあると、化粧そのものが崩壊してしまうので注意。
こんな感じだ。
とはいえ化粧は自分の顔をレベルアップする行為だと考えるので、楽しんでほしいとも思う。
