<僕の考えを存在可能にする>(2021)油彩

こんにちは、Miyabiだ。

「マイノリティ」は最近よく聞く言葉だ。

「仕事やニュースで使われている」という印象の人もいれば、「日常的にその状況」という人もいるだろう。

このブログでは「セクシュアル・マイノリティ」についても、よく取りあげているよ。

では、マイノリティとはどういう意味なのだろう?

今回は「マイノリティ」の意味と、「あなたもマイノリティになるときがある」というお話をしていこう。

「マイノリティ」とは?

マイノリティの意味

マイノリティは英語の「minority」から来ている。

よく趣味の世界などで

「それってメジャーじゃないよね」「マイナーだなぁ!」

と使われるが、「マイナー(minor)」を名詞化したのが「マイノリティ(minority)」だ。

元々の意味は

  • 少数派
  • 少数民族
  • 未成年

だ。

日本語では主に「少数派」という意味で使われる。

簡単に言うと、ポケモンのピカチュウ好きは多いけど、その中で
「カメックスが最も好きです!」
っていう人は「少数派=マイノリティ」ってことだね。

「マイノリティ」の反対語は?

マイノリティが少数派という意味なら、「多数派」を表す言葉もあるはずだ。

これが「マジョリティ(majority)」=「多数派」だ。

槻坂46の人気曲に「サイレント・マジョリティ」があるが、それでご存知の人もいるだろう。

ピカチュウ好きは「マジョリティ」ってことになるね。

…でもちょっと待って。
ポケモンの多数派・少数派ってやっぱり「メジャーポケモン」「マイナーポケモン」って言うよね?

美少年くんの言う通り、マジョリティ・マイノリティは、ただ単に「多数派」「少数派」を表してはいない

では具体的に何を表しているのだろう?

「社会的」多数派・少数派

実はマジョリティ・マイノリティの言葉には

「社会的」

というニュアンスが入っている。

「社会的」とはつまり、人種、性のアイデンティティ、ジェンダーといったその人の人生に付きまとうものと、政治・学級・会社などで出す意見といった、集団の中での考え方のことを言う。

分かりやすく言うと、

  • クラスの学級委員を選ぶ投票で、僕はAさんに投票した。
  • 日本の会社に、外国から入社したBさん。
  • 私はこの世界で女性として生きている。

と言ったことだ。

マジョリティ・マイノリティは単純に「多い・少ない」の割合から言われることもある。

けど問題なのは、「これは多数派」「これは少数派」と「思い込まされている」可能性があることだよ。

では次からは、実際にどう使われているか、どうすれば「多数派」「少数派」に踊らされずにすむかについて見てみよう。

「マイノリティ」=悪?

思い込み1、「マイノリティは少ない」

「マイノリティは少数派って意味だから、少ないに決まってるでしょ?」

とお思いの人もいるだろう。

もちろん多数派と少数派が、地球規模で「99%対1%」の場合もある。

だが「51%対49%」でも成り立ってしまうことに注目してほしい。

他にも、投票規模のこともあるね。
「1000人くらいで多数決したのかと思ったら、実際は3人だけで多数決していた」なんてこともある。

例えばあなたが女性で、男性の多い会社に勤めているとして

「会社に女子トイレ、または共同であっても汚物入れを作ってほしい」

と主張しても女性が少なければ否決されてしまう可能性があるということだ。

それでは生理のとき、どうすれば良いのだ?ということになり、働きづらさやセクハラに繋がっていってしまう。

またその会社では女性が少なくても、取引先の会社には女性社員が多く、よく女性が訪問してくるかもしれない。

さらに世の中で考えると、男女は半々なので、決してマイノリティではないのだ。

「女子トイレ・汚物入れ設置否決」が広まって、有能な女性や平等な考え方のできる男性が離れてしまうかもしれない。

…などなどが考えられる。

「マイノリティ」は「少数派」という意味だが、果たしてそれはどの範囲・人数・割合の話なのかを見てみると良いだろう。

思い込み2、「マジョリティは良いアイデアである」

2つのアイデアがあり、多数決をとることになった。

結果、A案に決定した。

果たしてA案は良いアイデアなのだろうか?

少数派のB案は本当にダメなアイデアだったのか?

「A案は何も物事を解決しないなぁ…」と思っても、例えば

・A案を出した人が、自分にとっての恩人だった
・B案はやれば解決するけど、実行するのに手間がかかってしまう。めんどくさい
・怖い先輩に「絶対Aに投票しろよ、さもなくば…」と脅された

ってことがあったら、惰性で投票してしまったりするよね。

もちろん、素晴らしいアイデアに票が集まることもある。

が、「実行するの面倒だなぁ…」「失敗したら自分に責任くるのかぁ…」などの理由で対して良くないけど面倒のないアイデアがマジョリティになってしまうことがある。

戦争の歴史でも、「負けてるし、ここで撤退したらいいのに…」という場面でも、上官たちが撤退の判断を出せずに出撃させた結果、戦死者の数が1晩で尋常じゃないくらい増加した、なんてことがある。

思い込み3、「マイノリティが悪い」

思い込み1,2と見てきて、「マイノリティは悪ではない可能性があるのだな」と察しの良い方は気づいただろう。

例えばセクシュアル・マイノリティ(LGBTq+など)は「マイノリティ」とつく。

「性別に違和感を抱いているトランスジェンダーの戸籍の性別を変更しやすく」や「同性婚を認める」などの案が出てくると、必ず

「子どものためにならない」

といった意見が出てくるのはご存知だろうか?

「セクシュアル=性的」=やらしいもの、という認識があるからかもしれない。

僕・Miyabiはトランスジェンダー男性なのだが、「自分の性別に対する違和感」は幼稚園時代からあった

つまり、子どももセクシュアル・マイノリティの当事者なのだ。

セクシュアル・マイノリティもセクシュアル・マジョリティも、
「どういう性別で生きて、どういう性別を好きになって(あるいは恋愛にはならず)、どういうファッションで生きるか」
が重要になっている。
つまり、個性だね。

これをセクシュアル・アイデンティティと言うよ。

また子どもは

  • 知らないもの
  • 大人が攻撃・蔑視しているもの

をいじめるようになる。

これには性のアイデンティティだけでなく、人種や国籍、他の方言を話す人、障がいを持つ人などにも当てはまる。

なので「マイノリティの自由・理解が、当たり前にあること」が、真に「子どものためになる」ことなのだ。

あなたも「マイノリティ」になる

最後に、僕もあなたもマイノリティになる、ということをお話したい。

とはいえ僕は先ほど「トランスジェンダー」と言ったので「マイノリティじゃん」と思われるかもしれない。

だが同時に、「日本に住む日本人」でもある。

つまり、このポイントにおいて僕・Miyabiはマジョリティなのだ。

ここで「おや?」と思った方。さらに見ていこう。

「日本人」が「日本」を出て外国、例えば「イタリア」に行ったとしよう。

日本にいたときはマジョリティだったけど、イタリアでは「外国人」と呼ばれるマイノリティになる。

「戦争反対!」も今ではマジョリティ意見だけど、一昔の日本では「非国民!」と言われて捕まってしまうね。

「マジョリティ」と「マイノリティ」は

  • 注目するポイント(セクシュアル・アイデンティティ、人種、出身地など)
  • その人のいる環境
  • 時代

によって、いとも簡単に入れ替わってしまうのだ。

あなたもマイノリティになるのだ。

外国に行ったとき、「日本人はマイノリティ。悪で排除すべき・無視すべき」と言われたら、たまったものではない。

だけど日本に来た外国人に対して、よく知らないのに「悪で排除すべき・無視すべき」と思ってしまう瞬間ってないだろうか?

逆に、

「外国から来たんだってね!君の出身地にはどんな文化があるの?」

と仲良くなれば、新鮮な見方や意見、新たな発見がたくさん出てくるだろう。

「かわいそうだから」マイノリティに優しく、と言っているのではない。

相手にもプライベートや経験、意見、価値観などなど様々な面がある。

また同じようにあなたにも、あなたが思っている以上に様々な面があるのだ。

外国を知ることで日本について理解するように、マジョリティな面・マイノリティな面が入り乱れる「あなた」という個人「相手」という個人を知ろうとすれば、地球はより実りの多いものになるだろう、というお話だ。

マジョリティ・マイノリティは上手く見れば、「当たり前」と言って考えないようにしていたもの新たな発見ができるようになるよ。

まとめ

今回はマイノリティについてお話してきた。

マジョリティ・マイノリティは

「Aさんはマジョリティ」「Bさんはマイノリティ」

のように、1個人につき1つな印象がある。

だが実は、「Aさんはこの面ではマジョリティで、この面ではマイノリティ。でも今度○○に行くと言っていたから、あの面はマイノリティからマジョリティに変わるんだな」と言ったように、入り乱れているし、常に変化し続けるものだ。

ここが人類の面白いポイントでもあり、気づかないと恐ろしいことを平気でやらかすポイントでもある。

<2色の世界に「見える」>(2021)、油彩

マジョリティ・マイノリティを気にせずに「自己紹介」ができる世の中になれば、もっと楽しく人生に集中できそうだ、と感じる。