
こんにちは、Miyabiだ。
性別に違和感がある人で、LGBTq+のことやトランスジェンダー・性同一性障害(性別違和)のことを調べた結果、
「自分は、トランスジェンダーかもしれない…」と思った。
そう自分で判断したら、それから次はどうすれば良いのだろう?
性別変更、改名、ホルモン治療、手術、カミングアウトなどなど、やろうと思えば色々あるが、まず何をすれば良いか悩んでしまう人も多いだろう。
今回は自分がトランスジェンダーかもしれないと思ってから、どんな行動に移せるかについてお話していこう。
目次
「トランスジェンダーかもしれない」と思ったら?~1、最終チェック事項・3つ~
0、最終自己チェック

真剣に悩まれてLGBTq+やトランスジェンダーなどについて調べて結論を出したのなら、その判断は尊重したいし、されるべきだと思う。
ただ、ホルモン治療や性別適合手術は始めたら後戻りできない変化が体に出てくるし、性別変更の手続きを役所にしてから今現在「元の性別に登録し直したい」は受け付けられない。
なので最終チェックだと思って、ジェンダーやセクシュアリティなどの項目の確認や、Xジェンダーやノンバイナリーの可能性についても視野に入れてこちらの記事を見ていただきたい。
また「性別をまだ確定できない」と感じた場合は、クエスチョニングということで「確定していない」意思を伝えることができる。
ただ単に「分からない…」というよりも「クエスチョニング」と言った方が精神的にも楽になる。
「色々確認したけど、自分は性別違和だ」「自分の性自認も確定している」
と感じたら、次に進もう。
1,味方を作る

あなた自身の問題だし、あなたの性自認はあなたしか分からない。
医療機関や役所など実際的な行動に移すのも良い…が、その前に。
トランスジェンダー男性でホルモン治療をしている僕からすると、「味方を作る」ことは意外と大事だと感じる。
学校や職場で自分の本来の性別で問題なく過ごすためにも、実際に性別や見た目を変えていく段階で心細い思いをしないためにも、あなたを分かってくれる人がいるのは強い。
他にも「トイレや更衣室を自身の性自認の方を使いたい」「制服を自分の性自認に合わせたい」「健康診断でこういう配慮をしてほしい」など、トランスジェンダー特有の相談を聴いてくれたり、校長や上司に一緒に相談に行ってくれる人がいるとさらに強い。

味方を作るには必然的にカミングアウトをその人にすることになる。
なので物事を柔軟に見れる人や、心に余裕のある人などを見極めたり、LGBTq+やトランスジェンダーの知識のある人を探すことをしてみよう。
「最初は友人にカミングアウトした」というLGBTq+の人が多いようだ。
友人の他にも恋人や親、先生でも良い(ただトランスジェンダーやLGBTq+を誤解している人もいるかもしれないので、そこを探ってからの方が良いかもしれない)。
専門的な知識や、経験をしている人の話を聞きたいと思ったら、養護教諭(保健の先生)、産業医でLGBTq+に理解のある人を探したり、「トランスジェンダー」「FTM(女性の体に生まれ、性自認は男性の人)」「MTF(男性の体に生まれ、性自認は女性の人)」の相談に乗ってくれる会社や団体をいくつか周ったりしてみると良いだろう。
ただ必要以上に味方になってくれて
「性別変更した方が良いよ!」「ホルモン治療しちゃおう!」「性別適合手術もやった方が良いよ!」
など急かしてくる人もいるかもしれない。
ここは先ほども言ったように「取返しが付かない変化」が伴うので、慎重に進めるようにしよう。
2,どこまで手を加えたいか?

ところで、トランスジェンダーと性別違和(性同一性障害)の違いはご存じだろうか?
簡単に言うと、性別違和は医療用語で
「心の性別に体の性別を合わせたい!」
と思っている人のことを言う。
一方でトランスジェンダーは性別違和よりも大きな範囲で語っていて、ホルモン治療や性別適合手術を望む人もいれば、ホルモン治療だけでいい人もいれば、治療も手術もしたくないという人もいる。
「トランスジェンダー」の一部に「性別違和」があると考えると分かりやすい。
ここまでであなたは自身の性自認の決定や、トランスジェンダーに理解のある味方を作ってきた。
ここで一度、あなた自身の理想像を思い描いてみよう。

治療や手術をしなくても、服や髪形、化粧、言動、仕草などの性表現を性自認に合わせる方法がある。
一番手っ取り早く、費用負担の少ない方法だ。
また「後戻りの効く」変化なので、リスクも少ない。
まずはここから始めてみよう。
大事なのは「男だからガチムチなかっこうをしなくちゃ…」「女だからゆるふわなスカートや髪形にしなくちゃ…」と気負わないことだ。
あくまでもあなたのファッションの趣味を優先させて大丈夫だ。
「ホルモン治療や手術ってどうなってるの?」「戸籍の性別変更は?」と気になる方は次に進もう。
医療機関や役所に行きたい~2、治療・手術・戸籍について・6つ~
1,クリニックを探そう

「ホルモン治療したい」「性別適合手術したい」「戸籍変更したい」「改名したい」
これらをやるには、どれも性同一性障害の診断書が必要になる。
今現在では精神科の内、GID(性同一性障害)を扱っている病院でもらえることになっている。
(WHOで2022年から「性同一性障害」が「精神病」から外され、「性別不合」という項目が作られることに決定している。なので今後、どの科の病院の扱いになるか、変更があるかもしれない)
同じ精神科でも、トランスジェンダーやLGBTq+に理解や知識があるところもあれば、ほとんど知識もなく偏見も多いところもある。
トランスジェンダーやGIDの相談に乗ってくれる会社や団体に「良い病院って教えてもらえますか?」と相談してみたり、あらかじめ「ジェンダークリニック」と名乗っている病院に行った方が早いだろう。
2、診断書がほしい

病院に「性同一性障害の診断書がほしい」と電話すると、
「自分史を書いて持ってきてください」
と言われる。
自分史とは、自分が今まで自分の「生まれた体の性別」と「心の性別」の食い違いでどんな違和感や嫌な思いがあったかを、簡単に時系列にして書いたものだ。
箇条書きでかまわない。
それを持って病院へ行く。

「性別の違和感は本当に性同一性障害からか?男女差別や二重人格などの他の要因はないか?」などをお医者さんがチェックし、診断を出す。
この診断が出るまでの期間はケースバイケースとなり、数回の診察で出るところもあれば、何年もかかるところもある。
もし手術をする場合はセカンドオピニオンが必要になる。
この場合は手術をしようと決意したときに、同じ手順でお医者さんを探し、診断書をもらおう。
3、ホルモン治療をしたい

ホルモン治療はFTMには男性ホルモン、MTFには女性ホルモンを投与する方法になる。
男性ホルモンは声を低くしたり、ヒゲが生えたり、生理が止まるなどの現象が出てくる。
女性ホルモンは胸が大きくなる、肌質がきめ細やかになる、女性らしい丸っこい体つきになるなどの現象が出る。
一度ホルモン治療を始めて効果が出ると、「やっぱり違った」と治療中断しても元に戻らない変化がある。
また、男性ホルモンで頭髪が禿げる可能性があるなど「性自認とは合っているけど、その変化は望まない…」というものもあるし、女性ホルモンでは声は高くならない。
などを踏まえて、「でも声を低くしたい」「胸がほしい」と、ホルモン治療で得られる変化が望ましいものであれば、病院を探して治療を始めよう。
男性ホルモンも女性ホルモンも、更年期障害で投与するものと変わらない。
なのでGID専門の病院でなくても治療を受けることができる。
「ホルモン」を扱っている病院いくつかに電話をかけ、1回のホルモンにいくらかかるかを聴き(保険外なので値段はばらばら)、行く病院が決まったら先ほどもらった診断書を持っていこう。
ジェンダークリニックならトランスジェンダーやGIDの知識も理解も豊富なので、一貫して安心して治療したいならこちらを選ぶのも手だ。
4、性別適合手術をしたい

一言で性別適合手術といっても、どこまでを指すかは人によってまちまちだ。
精巣や卵巣、男性外性器や乳房を取り除くのが第一段階で、戸籍の性別変更をするのに今現在必須となっている手術だ。
その後、MTFなら造膣や豊胸、のど仏を取るなどに進むか、FTMなら陰茎形成に進むかは人による。

いずれにしても体的に健康なところに手術をするわけなので、手術に伴うリスクを考える必要がある。
手術時にはいざというときのために「どんな手術をしたか」を担当してくれたお医者さんに書面にしてもらうと、性別適合手術で施した部分に問題が出てきたときや、全く違う理由で病院を受診したりするときに役に立つ。
5,名前を変更したい

改名するには家庭裁判所に審判してもらうことになる。
これは戸籍の性別変更をしていなくてもできることだ。
家庭裁判所はあなたの住んでいる地域を管轄しているところになるが、トランスジェンダーの改名についてしっかりした決まりや法律が無く、その家庭裁判所の判断に任せることになる。
なので、申立書や印紙などの他に、性同一性障害の診断書や、普段の生活で既に新しい名前を使っていることを示すものを提出する必要がある。
これで改名できる場合もあれば、できない場合もある。
どのようにすれば改名が認められるかは、GIDについて知識のあるお医者さんや改名の経験者に相談してみると良いかもしれない。
6、戸籍の性別変更をしたい

戸籍の性別を変更するには、今現在では2003年に決められた法律に従う必要がある。
具体的には
- 20歳以上であること
- 現に婚姻していないこと
- 現に未成年の子どものいないこと
- 生殖腺のないこと、あるいは機能を永久に欠いていること
- 変更先の性別っぽい見た目に性器がなっていること
となっている。
ホルモン治療や性別適合手術が必須になっていて、これらの条件を満たした上で、それを証明する診断書をもらって家庭裁判所に提出をする。
こちらは法律があることから、条件を満たしていればスムーズに認められる。
ただ最近では「生殖腺のないこと、あるいは生殖機能を永久に欠いていること」は人権を侵害していること、欧米では性別適合手術が条件から外されていることから、日本でも法律を見直す必要が主張されている。

「手術したくない…でも戸籍変更するためなら手術しなきゃいけないのか…じゃあしなくちゃ…」という考えで性別適合手術に踏み切ろうと思っている方は、一回待ってほしい。
WHOの「性同一性障害」の項目が2022年に変更されることもあって、日本でも「性別違和の人のための法律を見直そう」という動きもあると聞く。
それに手術した体は元に戻らない。
あなたの「なりたい像」を一番大事にしよう。
番外編・性別変更前も後も、味方になってくれるもの
LGBTq+アートや歴史を見ると、課題が見えてくる

時間に余裕があれば、LGBTq+をテーマにしたアートや、LGBTq+の歴史を見てみると新たな発見があるだろう。
過去のアートもそうだが、現代のアーティストによるLGBTq+のアートは、今の世界のLGBTq+の問題や人権、「こういう世界ならもっと生きやすいのに」といったコンセプトの作品があったりする。
歴史的にLGBTq+は差別されたり「いないもの」として扱われたりしてきた。
現代でLGBTq+をテーマにしたアートは「ここにいる」ことを主張している。
なのでこれらを見ると、あなたのアイデンティティや普段考えることに寄り添ってくれる作品もあるだろう。
1で述べた「味方を作る」は人間の味方だった。
ここではあなたの心の拠り所としての「味方」であるアートがあることを提案したい。
まとめ

今回は「トランスジェンダーかもしれない」と確信してからの流れをザッと紹介してきた。
僕は未手術であり、ホルモン治療をして1年半なのだが、治療を始める前は
「性別適合手術までして、陰茎形成までしなきゃダメ」
と思っていた。
だが陰茎形成手術がまだ発展途上であることや、ホルモン治療を続けて声が低くなったり生理が止まったりヒゲが生えたりした結果、「あとは胸オペ(乳房切除)くらいで満足だなぁ」と思いが変化している。
生まれた体の性別を嫌でも意識しなきゃいけない部分が、ホルモン治療だけでもかなり緩和されていることに気づいたからだ。
「どこまで変化を加えたら満足できるか?」の最低ラインを設定して、リスクの少ないところから少しずつ進めるのが大事だと思う。
一緒に頑張ろう。