こんにちは、Miyabiだ。

トランスジェンダー男性(FTM)にとって「男性と認識される」ことは重要だ。

アイデンティティであるのはもちろんのこと、外出したときにトイレをできない問題を抱えているからだ。

僕はアーティストで、昔から美術解剖学ヌードデッサンなどで男女の基礎骨格の違いというのを意識してきた。

今回は男女の基礎骨格の違いと、それを元に実際にFTMの僕が試してきた「FTMのファッション」についてお話していこう。

FTMのファッションと骨格

「ぱっと見性別」が鍵

レディースの服を着ていたら女性、メンズの服を着ていたら男性、なんて単純な話ではない。

何故なら「彼シャツ~」といって彼氏の服を着る女性は、メンズ服に関わらず「女性」と判断できてしまうからだ。

逆も然り。

だがコスプレイヤーの世界やドラァグクイーンなどのパフォーマンスの世界をはじめとした「本気」の異性装をしている人たちは、ぱっと見では生まれた体の性別を判断できないこともよくある。

つまり、ただレディース服・メンズ服とスイッチするだけでは「ぱっと見性別」を変えることができない。

逆を言うと、要点さえ押さえればぱっと見性別を操作することができる、ということだ。

「男性」「女性」をぱっと見どこで判断している?

街を歩いている人を観察していると、白シャツ・ジーンズという無性別なファッションなのに、後ろ姿だけで「男性」「女性」と判断できていることに気が付く。

前から見れば胸や股間のあるなしで判断できるだろうことは容易に想像がつくが、後ろから僕たちは何を見ているのだろう?

ここで美術解剖学服の縫製が役に立ってくる。

服・皮膚・筋肉は個人差がありすぎて、「ぱっと見性別」には関係がない。

重要なのは「骨格」だ。

骨の性別は大きく頭蓋骨骨盤に出る。

頭蓋骨は丸っこければ女性で絶壁が男性だが、中身は脳みそと共通し、頭の形は人それぞれなことから分かるように個人差も大きい。

だが骨盤は根本的な形にけっこう違いが出る

女性の骨盤は横に大きく、男性の骨盤は縦に大きい

これが女性の「安産型」などといわれるお尻部分や、それと対比してできるくびれの形と大きく関わってくるのだ。

そしてここは男性ホルモンを注射したFTMも変化が出ない部分となる。

ぱっと見性別には骨盤が重要なのである。

骨盤を隠すと一気に理想に近づく

骨盤の違いから起こる、服のつくりの違い

上で女性の骨盤と、それによって形成されるくびれについてお話してきた。

今度は服の話だ。

レディースのパンツ…ズボンと言おう、ズボンの縫製は、この横に広い骨盤と、落差によってできる狭いウエストにそって設計されている。

そして体にピタッとしている物が多い。

FTMがレディースのズボンを履くと女性っぽさが際立ってしまい、僕としては「自分から消し去りたい特徴が目立ってしまう…」と感じる。

一方でメンズのズボンは、縦に広がる骨盤と、それによってあまり落差のでないウエストを覆うためにずん胴なつくりになっている。

股間にかなり余裕があり、紐かベルトが無ければ落ちそうな物がほとんどだ。

これはメンズスキニーも同じで、FTMからすると骨盤から太もも周りに余裕があって「女性っぽさ」を軽減できると感じる。(骨格の男女差で、骨盤の違いにより太ももの骨の付き方も男女によって変わるので、太ももの付け根まで隠れるとかなり良い)

ユニクロは誰でも普段使いやアレンジができるシンプルなつくりのズボンが、サイズ幅広く、その上裾上げも頼めばできるのでお勧めだ。

他にもユニセックスを取り扱っているブランドのズボンは、ジェンダーレス・異性装・クロスドレッサー・中性的などのファッションの男性や女性を対象にしているので、トランスジェンダー男性でもサイズが大きすぎず、「女性っぽさのないシルエット」を手に入れられる。

ズボンだけでは足りない…

メンズやユニセックスのズボンで骨盤周りの骨格を曖昧にできた。

だけどまだ足りない気がする…

そうお思いの方もいるだろう。

何を隠そう、僕もかなりそこで悩んだ1人だ。

特にホルモン治療をしていないトランスジェンダー男性は、生理周期などで骨盤が開いたり、メンズのズボンの股間余裕だけでは隠しきれないときがあるからだ。

そこでもう1つ、長めのトップスを併せると心強い。

長めのトップスは大きめパーカーなどカジュアルなファッションがメインとなるが、「裾をズボンの外に出して見せる」使用のYシャツなどきれい目なファッションもある。

夏ものでも、裾長デザインのTシャツがある。

ここまで実践すると、ぱっと見性別がかなり中性~男性になってくるのでお勧めだ。

最終手段・筋肉

これは僕はできていないが、最終手段は筋肉をムキムキにすることだと思う。

これには2つ理由がある。

1つ目は「筋肉ムキムキな女性はいない」という固定概念があるから。

ジェンダーの観点を利用するので個人的にはモヤッとするが、世間的には効果てきめんだろう。

2つ目は、筋肉をつけることで骨盤を視覚的に強調させないことができるからだ。

いわゆる逆三角形の体格で肩を大きく見せれば、横に大きいはずの骨盤の存在はかすれる。

また、太ももの筋肉を付ければ同じ理論で骨盤を小さく見せることができるのだ。

骨よりは上に来るが、服よりは下にある筋肉。

内部構造を変えてしまえば、上に乗っかってくる服も違った味わいを出すだろう。

「中性的というよりは、筋肉のついた印象になりたい」タイプのFTMの方は、服うんぬんよりも筋肉をつけてしまった方が早いと思う。

まとめ

今回は「女性っぽさを体型から無くしたい」と思っているFTMの方のファッションについてお話してきた。

僕は高校時代に原宿系ファッションを知った流れでユニセックスの服や靴などを取り入れてきた。

前は「メンズだとサイズが大きすぎるし、レディースだと中性的・男性的なつくりのものがない…」と絶望的な中、数少ないユニセックスのブランドの服や靴を買っていたが、最近ではファストファッションでもサイズやデザインが幅広くあって、トランスジェンダーも選びやすくなっている。

お財布にも優しくとても助かる。

美術解剖学やヌードデッサンをしているとき、「ここは男女差に関係ある」「ここは個人差なので関係ない」というのもずっと考えていた。

手に入れやすい漫画やイラストなどの男女の描き分けは「目の形」「内股・がに股」「眉毛の形」など個人差としか言えないところにフォーカスしているのが多いので、トランスジェンダーが普段のファッションとして取り入れられる要素が少ないのだ。

それに「個人差」をジェンダーの固定概念で「男女差」にしてしまって良いのだろうか?という疑問もあった。

「髪も短いしズボン履いたのに、スカート履いたときよりも女性っぽさがある…?何故…?」とお悩みの方もいるだろう。

(スカートは骨盤を隠すので「スカート=女性」というのが無ければ最適だったりする(笑))

「ここを見て生まれた体の性別を見分ける!」「見分けられないようにしなきゃ…」ということよりは、あなたの体と理想に合った見た目になれるように使っていただければ嬉しい。