
こんにちは、Miyabiだ。
トランスジェンダーや性別不合(性同一性障害)の人は、いつ頃からそれを自覚していたのだろう?
病院に行っても「自覚が遅いから性同一性障害ではないよ、さようなら」と話を聞いてくれなかったらどうしよう?
病院に行くのは敷居が高いから、自分の中で確実にしてからにしたい……とも思っちゃうよね。
僕はトランスジェンダー男性なので、このようなことが気になる気持ちはよく分かる。
今回はトランスジェンダーや性別不合の人が、だいたいいつ頃・どのように自覚するのかについてお話していこう。
目次
「自分は性同一性障害だ」と自覚するとき
自覚する年齢

結論から言うと、だいたい小学校高学年~中学生くらいに「自分は生まれた体と心の性別が違うんだ」と自覚する人が多いらしい。
理由としては、学校で出席や制服、体育の授業など、男女に分けて扱われたり、第二次性徴で生まれた体の性別の特徴が際立ってくるからだろう。
体の成長度合いが友人間での話題になりやすい年頃でもあるね。
僕は中学時代に「胸よ、大きくなるな…」と念じていたのだが、女子の友だちは「胸よ、大きくあれ…美しくあれ…」と願っていた。
こういう会話で「何か違うな?」と自覚することもあるだろう。
自覚した年齢が遅いのだけど…

「小学校高学年~中学生よりもずっと後に自覚した」
「これは性同一性障害ではなく、思い込みなのでは…?」
と考えた方もいるかもしれない。
確かに思い込みというのは存在する。
実際、生まれた体と心の性別が一致しているシスジェンダーの人でも、「体が女らしいのが嫌だ」「爽やかな見た目が良いのに、僕はごつごつしすぎてちょっと…」「何で男女分けるんだろう?」などの違和感を持つ人もいる。
こういう違和感に気づいたら、「何で自分はこれが嫌なのかな?」と理由を探ってみよう。
他人からの性的な目に迷惑している、「なりたい自分像」になれていないことに悩んでいる、ジェンダーに対する意識が固定概念に縛られずに考えられる、など性別への違和感は意外と様々な面があるのだ。

大きく見ると「同じ性別の悩みだ」とまとめられてしまう。
なのでトランスジェンダーや性同一性障害の人が友人に、自分の性別のことで悩みを言っても、「分かる」「自分も~」と言われるかもしれない。
「同じ悩みを持っている人がいるのなら、自分のこの違和感も普通のことか」と日常を普通に過ごせたものの、大人になってから「やっぱり違う…?」と気づく方もいるのだ。
・「性別が理由」となる問題=他の人からどう見られてるかの問題
・「性別そのもの」に対する違和感=自分自身をどう見るかの問題
っていう選別の仕方をすると、けっこうスムーズに「トランスジェンダー・性別違和である」のか「そうではない」のかの見分けがはっきりしてくるよ。
気付かなかったことは、何も悪いことでも間違いでもない。
自覚したときに自分の違和感について整理したり、情報収集すれば良いのだ。
「自覚」って?~トランスジェンダーの幼稚園・小学校時代~

僕の場合、物心ついた頃から自分の性別に違和感があった。
これを「自覚」と言っても良いだろうが、当然この頃「トランスジェンダー」「性同一性障害」「LGBTq+」なんて言葉は知らなかったし、そういう人が普通に存在することも知らなかった。
「こどもちゃれ○じ」でも「おかあさんとい○しょ」でも教えてくれなかったことだもんね。
今思えば…と思い当たることと言えば、幼稚園当時「おジャ魔女どれみ」を見ていて、ボーイッシュな格好をした「あいこちゃん」に僕は魅かれていた。
自分も「あいこちゃん」も、「女の子だ」と周りに認識されていながら、「男の子」として生きていたように見えたのだ。

ところがアニメのどこかで「あいこちゃん」がお姫様のようなアイテムを貰ったとき、「わぁあ~」と目を輝かせたのを見て、「あ、自分と違う」と少し距離を感じたのを覚えている。
幼稚園児だったので何でこのシーンにガッカリしたのかは、よく分かっていなかった。
大学生になってLGBTq+や性同一性障害を知って、ようやく「ボーイッシュなあいこちゃんに「トランスジェンダー」を求めて自分と同一視していたんだ」と理解した。

他にもトランスジェンダーの人には
「小中学生の頃、女子(あるいは男子)に自動的に分けられたのに違和感があった」
という人も多い。
が、これもやはり「LGBTq+」を知らなかったので、ただただもやもやを抱え込んでいた割合も決して低くはないだろう。
「自覚」というのはかなり曖昧な表現で、「少し違和感」の段階も「性別に違和感がある」という段階も「自分はLGBTq+でトランスジェンダーだ」という段階も含まれる。
「トランスジェンダー」や「性同一性障害・性別違和」という言葉を知るなどして、「ああ、あのときのもやもやは全部これが原因だったのか!」と納得したときに、「物心ついたころからの違和感」に初めて名前がつくことになる。
つまり、知識と経験がピタリと合致したときに、「自覚」という言葉が使われているということだ。
自覚が遅いからどうこう…というよりも、自分が納得するまで調べるのが大事っていうことだね。
トランスジェンダーや性同一性障害に対する「思い込み」で、自覚が遅れることも

シスジェンダーの女性でスカートが嫌いな方がいるように、シスジェンダーの男性で可愛いものが大好きな方がいるように、服や趣味で性別を語ることはできない。
だが
「生まれた体は男性で心は女性でも、スカートが履きたかったり、可愛いものが好きでなきゃ「性同一性障害」とは言えないんじゃないか」
「生まれた体は女性で心は男性でも、筋肉ムキムキにしたいと思ったり、かっこいいものが好きでなきゃ「性同一性障害」と言ってはいけないのでは」
という思い込みから、「自覚」が遅れる場合もある。
そんなことはない。
僕はトランスジェンダー男性だが、可愛いものもかっこいいものも好きだし、筋肉ムキムキもそこまで望んでいない。
けれど「男性」と自認しているから「男性」を名乗っている。
・生まれた時点でどうしようもない人種や生みの親や顔面偏差値などのラインに、性自認(心の性別)や性的指向(恋愛対象)がある。
・人生の経験や環境などによって変化したり決まってきたりするのが、「どんな人になりたいか」の価値観だったり、趣味や仕事だったりなんだ。
だからトランスジェンダーの自覚とあなたの趣味はまったく別次元の話だと考えて大丈夫だよ。
自覚したら

「自覚する年齢が遅いのでは…」
そう心配するのはとても分かる。
だが年齢よりも
「この自覚は本当に合っているのか?間違って性別適合の治療や手術をしてしまって後悔、なんてことは起こらないか?」の方が大事だろう。
なので、確かめる意味でも「自分史」を書いてみよう。

A4の紙に時系列順で、性別に関することで違和感があったこと、嫌だったことなどを書き出していくのだ。
このリンク先の記事に、自分史の書き方を紹介している。
1時間くらい時間を取って、丁寧にあなた自身の気持ちを確かめていこう。
中々字にするのが恥ずかしかったり、「こんなこと書いちゃって良いのかな?」と思ったりすることもあると思う。
安心してほしい。
「LGBTq+」とは「性に関するアイデンティティ」の話だ。
なので、自分史はあなたのアイデンティティを確認する作業だと考えるとやりやすくなってくる。
まとめ

今回はトランスジェンダーや性同一性障害の自覚の時期の話や、遅いってあるのか?についてお話してきた。
「性」=「いやらしいこと」という認識がまだまだある。
これによって「性のアイデンティティ(性自認や性的指向など)」の話は「いやらしいことなのではないか?」と避けられたりすることが多い。
もちろんセクハラはLGBTq+だろうとなかろうと、してはいけないことだ。
だが子どもでも大人でも「自分とは何か?」と考えるときに、「性のアイデンティティ」の情報を得られないことは思いのほかツライものだ。
少し話が逸れた。
違和感を抱いたり自覚をしたりしたとき、「間違いだったらどうしよう」という不安はある。
ホルモン治療を始める前の僕もあった。
治療を始めたら元に戻せない変化もあるので、間違いないかは自分史などで整理して見直しをした方が良いだろう。
だが、あなたの中で思案中のときは間違いを気にせず「性同一性障害かもしれないという仮定」の元で実験をしている、と考えると良いかもしれない。
「実験」として「もし自分が生まれながら男性/女性の体だったら、どう感じるか」「男子/女子と学校で分けられたときの違和感は、何が原因の違和感だろうか」などをじっくり考えるのだ。
その結果「LGBTq+です」となったら「治療はする?」などを考えれば良いし、「性同一性障害じゃないかも」なら保留したり、いったん元の体の性別で生きてみるでも大丈夫だ。
「トランスジェンダー」「性同一性障害」は1個のネーミングであり、あなたがどう生きたいかはあなたが決められる。