
こんにちは、Miyabiだ。
「自分の性別に違和感がある」「性同一性障害(GID、性別不合)かもいれない」と悩む人は一定数いる。
LGBTq+のT、トランスジェンダーは生まれた体の性別と心の性自認が一致しない状態の人のことを指す。僕もトランスジェンダー男性で、子どものときから上に挙げたような悩みを持っていた。
この性別違和で悩んでいる人、その周りにいる人のもう1つの悩みは
「ただの思い込みだったら、どうしよう…」
ということではないだろうか。
性別適合させる治療や手術は1度やると元に戻せないことから、「もし思い込みだったら取返しがつかない」となる。
また、当人が周りの人に相談しようにも「たとえ理解がある人だと分かっていても、もし自分の思い込みだったらこの人の時間をムダにしてしまう…」と相談できずに1人で抱えてしまうかもしれない。
「性同一性障害の診断書がほしい」と思って病院行くにしてもお金がかかっちゃうしね。
性別違和が思い込みだった、そんなことはあるのだろうか?
今回はこのことについてお話していこう。
目次
性別の違和感と思い込み・5つの可能性

答えを言ってしまうと、思い込みは「ある」。
これは当人が真面目じゃないとかではなく、真剣に悩んで、性別のこと・将来のことについて学び、考えたとしても起こり得ることだ。
その要因が性別以外のことの可能性もあるし、本当に性別に違和感があるが「性同一性障害」と診断できないという場合もある。
今から1つ1つ、可能性を見ていってみよう。
「それよりも前に、LGBTq+とかセクシュアリティとかについて知りたい!」という方はこちらのリンク先の記事を参考にしていただきたい。
1,思春期と性別違和

性別に対する違和感は思春期に強くなりやすい。
「多感な時期だから」とよく片づけられるが、経験や色んな人の話を参考に僕なりに考えると
- 学校内で「女子・男子」と性別で2分される機会が増える(整列や席替え、プール授業を始めとした体育、着替えなど)
- 制服で男女2分される
- 上の教育方法により、女子グループ・男子グループと生徒自らがグループ意識・異物意識を持つことが多い(馴染めないときに、理由を性別に求めることがある)
- 第二次性徴が起こる時期で、自身の体の変化から、生まれた体の性別を無視できなくなる
- 恋愛の話が多く、その中でも「(戸籍上の性別で)女子は男子を、男子は女子を好き」という前提で会話が進む
など、男女分けを意識する機会が多くなるのが要因ではないかと考える。
トランスジェンダーがしっかり自覚するきっかけでもあるし、シスジェンダー(生まれた体の性別と心の性別が一致している人)にとっても性別特有の変化が起こる大事件なのが、思春期なんだ。
美少年くんの言うように、誰にとっても大きな変化であるので、「性別に違和感があるな…」と思ったときは「何で違和感があるのだろう?」という方に思考を進めると、「違和感の原因」を突き止めやすい。お勧めだ。
2,「同性と仲良くできない…」

学校でできる仲良しグループというのは、性格が合う人同士、趣味が合う人同士であることが多い。
と同時に、生まれたときに大人によって男女の2つの性別に分けられてしまう。
それで自然と同性といっしょにいるようになる。

とはいえ趣味や性格と違って、戸籍の性別は中身とは関係がないのが問題だ。
同じ性別でも、「自分とすごく馬が合う!」って人もいれば、お互い悪気ないのにびっくりするくらい気が合わない人もいるよね。
大人なら「趣味の合う人」のいるところまで足を運べたりするが、子どもの場合は学校が全てだったりする。
授業は平日ずっとあるし、試験や部活でも忙しい。
狭い学校の中で「自分と同じ!仲も良い!」と思える同性がいたらラッキーくらいなのではないだろうか。
「同性と仲良くできない」ということから「自分はこの人たちと違うんだ、異性なんだ」と思ってしまうケースがある。
3,同性が嫌だ

中には同性にいじめを受けて
「女/男なんて嫌い」「自分もあいつと同じなんてあり得ない、異性になりたい」
と思う場合もある。
他にも次で紹介する「ジェンダー観」とも関連してくるが、「女だから」と女性っぽさを出す女性や、「男だから」と男性っぽさを出す男性に嫌気がさしてきた、というきっかけもある。
「同類にされたくないな…」という思いからだ。
4,ジェンダー観

世間の「男らしく」「女らしく」という圧力に、「何で?」「それ何の意味があるの?」と疑問に感じる人は多いだろう。
僕も生まれた女性の性別から自認する男性の性別に治療しているが、「男らしく」にはかなり疑問を感じる。
女性の方が周りに「女らしく」と言われているのも「何で?」と思ってしまう。
僕は僕だし、あの人はあの人。
なのに何故「その人らしさ」ではなく男女の2択しか「らしさ」がないのだろう?

このように「自分らしさ」が「異性っぽい」と周りに圧力をかけられたときに「性別が違うのではないか」と悩んでしまうことがある。
この男らしさ・女らしさをジェンダーと言って、同じ「性別」のことでも、自分の心の性別など「性のアイデンティティ」を示すセクシュアリティとは別の問題なのだ。
まずは抱えている性別の悩みを「ジェンダー」と「セクシュアリティ」でより分けることから始めてみよう。
5,男女…ではないかも

ここまで見てきて、世間に「男女」2分されるケースがたくさんあることが分かった。
だが性自認が男性でも女性でもない人はどうすればいいのだろう?
性別は男女以外に中性や両性などのXジェンダーがいる。
また、「男女」という枠組みがそもそもないノンバイナリーもいる。
もしも「自分は「男性」と言われても「女性」と言われても、しっくりこない。違和感があるな」と感じたら、Xジェンダーやノンバイナリーの可能性がある。
これらの人たちにお医者さんは「あなたはXジェンダーです」「あなたはノンバイナリーです」といった診断書を出せない。
今のところ、性同一性障害の診断というのは性自認が「男」か「女」かの前提で成り立っていて、それ以外の性別は含まれていないからだ。

診断書を貰えないことで不安に感じることもあるだろう。
誰かのお墨付きがないと、学校や職場で「自分の本来の性別で生きたい」という意見が無視される可能性もあるしね…
こんな心配しなくても大丈夫な世の中になってほしいもんだよ。
中には「男性・女性のどちらかにならなければならない」と思って、GID(性別不合、性同一性障害)の診断書を出してもらって、あまりしっくりきていないにも関わらず、どちらかの性別になる治療を受けてしまうかもしれない。
(「Xジェンダーでもホルモン治療がしたい、オペをしてほしい」という場合、自分が一番しっくりくる身体的特徴を得るために、お医者さんに相談をして性同一性障害の診断書を出してもらって治療をするやり方もある。
あくまでも、あなたが一番しっくりくることが大事なのだ。)
「「男性」と言われても「女性」と言われても、違和感あるなぁ…」と感じたら、一度Xジェンダーやノンバイナリーの可能性を見てみよう。
もしかすると「男女」で解けない性別の違和感のきっかけが、ここにあるかもしれない。
色んな要因を解いていく

性別に違和感を強く感じるきっかけには第二次性徴、人間関係、学校教育、周りの大人の価値観、ジェンダー観、男女しか性別は存在しないという思い込みなどから起こる。
トランスジェンダーの多くも、幼少期に感じていたが無視しようと思えばできた違和感が、第二次性徴での大きな体の変化から精神的苦痛を味わい、違和感を無視できなくなった、と感じている。
学生はこの第二次性徴と同時に、人間関係、成績、試験勉強、部活、睡眠不足、空腹など色んな問題が一緒になって襲ってくる。
また「人間関係」には、友人・恋愛・先生・親・ネットと幅広かったり、「周りと同じでなきゃいけない」という感覚がある。
これらから「自分の体の性別が問題では?」となることも多い。
他にも性別が直接の理由ではなくても、「周りと同じを強制されたくない」という意味では、発達障害が性別に違和感を持つ要因になることもある。
色んな問題や悩みが絡み合って、「性別の違和感」として表に出ているかも、って線もある。
1つ1つ丁寧にほどいていく感じで分析していく方法を、次から紹介していくね。
思い込みであってもなくても
「性別に違和感があったのは思い込みだった」
と後で分かったとしても、そのときは何かが問題で悩んでいるかもしれない。
また、本当に性別に違和感がある可能性もある。
いずれにせよ、大事なのはあなたがあなたらしく生きることだ。
思い込みかどうか判断するには?

とはいえ、性別の違和感が思い込みかどうかは気になるところだ。
この場合は自分史を書いてみると良い。実際にGIDの診断をするときにお医者さんの判断材料になっている。
用意するのはペンとA4の紙。
ここに生まれてから現在までで、性別に対する違和感・そのときどう感じたかを時系列順に書き出していくのだ。
それを見返すと、「これは性別違和だな」「これはジェンダー観じゃないかな」「これは人間関係が原因だな」と冷静に発見をすることができる。
性別違和の判断にはジェンダーとセクシュアリティの違いなどの知識も必要になってくるのだが、そうでなくても紙に感情を書き出すことは、あなたの漠然とした考えを整理する効果もある。
思い込みかもしれない…でも性別を変えたい

「思い込みかもしれない、でも自分の心の性別に変更したい」という場合はどうすればいいのだろうか?
ホルモン治療や性別適合手術は始めると元に戻れない。
じゃあリスクなく、できることはないのだろうか?
答えは、ある、だ。

女性を自認する場合は、声を女性っぽい高いものにするボイトレがある。
声帯はホルモンで低くはできるが高くはできないので、MTF(生まれた体は男性だが性自認は女性の人)の人もやっているのがボイトレだ。
化粧も良いかもしれない。
化粧は案外難しいので、慣れるまでは1人で練習すると、だんだんあなたに合ったものができるだろう。
男性を自認する場合は、髪を切ったり、男性ものの服を着たりする方法がある。
ホルモン治療や手術でも骨盤の形までは変えられないので、腰を見ると「女」っぽい印象を受けてしまう。
そこで男性もののズボンを見ると、股間に余裕があり女性ものと違って腰にピッタリしていない。骨盤の形をごまかせるのだ。
Xジェンダーやノンバイナリーを自認する場合、例えば声の高さやヒゲ、胸のふくらみなど、「こうあってほしい」「これは嫌だな」を整理しておくことが大事だ。
そしてそれに合わせて、服や髪形、ボイトレなどを選んでいく。
どの性別にしろ、ファッションや化粧で自分らしさを表現することは可能だ。始めは下手でも、練習すれば上達する。
周りに悩んでいる人がいる場合は?

もし近くに性別の違和感で悩んでいる人がいる場合はどうすればいいのだろう?
こういう悩みも少なくないだろう。
この場合は、本人が打ち明けてくるまで「性別に違和感あるでしょ」と聞かない方が良い。本当はそうであっても「違う」と反射的に言ってしまうことがあるからだ。
もし打ち明けてきたら、「どの性別だったとしてもあなただから、性別で見放したりすることはない」ということを伝えると、相手は安心すると思う。
そして相手が焦らずに情報収集する時間、考える時間を持てるようにすると良いだろう。
「できることがあれば手伝うよ」と一言あると、相談しやすいかもしれない。
「今すぐ解決!」ということができないのは歯がゆいが、本人からすると何かあったときに確実に味方になってくれる、真剣に相談に乗ってくれる人というのはかなり安心できることだ。
まとめ

今回は性別違和は思い込みであることもある、ということをお話してきた。
実際の性自認がどの性別であろうと、ファッションや化粧などで「あなたに似合うもの」「あなたらしさ」を表現することは可能だ。
「男は角刈りじゃないと」「女なら量産型にならなきゃ」のように「同じ」である必要はないのだ。
「あなたらしさ」を大切にすると、生きやすくなるかもしれない。
↓こちらにこのブログのLGBTq+、セクマイ関係の記事へのリンクをまとめてあるので、是非使ってほしい。
今日から新しい油絵を描き始める。
絵のモチーフや技法にはたくさんの種類がある。まさに多様だ。
そこから「このモチーフ」「この技法」「この方法で自分の考えを描くぞ」という行為は、性別に対して「自分らしく生きる」と頑張る人たちに似ているな、と思った。