
こんにちは、Miyabiだ。
「ジェンダーとかセクシュアリティ、セックスとかいう言葉があるけど、「性別」と何が違うの?」「性別の訳は本当はどれ?」とニュースなどで疑問に思ったことはないだろうか?
実はこの3種類の違いが分かると、あなたのアイデンティティをはっきりさせることができる。また、LGBTq+の人を含めて、「性別とは人間にとってどういうものか?」ということも分かるので、出会った人・目の前にいる人に対する理解を、固定概念なしにすすめる助けにもなるのだ。
あなたがあなたらしく生きる要素の1つに性別がある。
今回はジェンダー、セックス、セクシュアリティという性別の3つの種類についてお話していこう。
目次
「性別」を3つの概念に分ける
何故3つに分けなければいけないのか?

「あの人男のくせに髪長くしてる」「女なのに何でお茶くみしてくれないの?」「あなたは女なの?男なの?はっきりして」という言葉を聞いたことはないだろうか。
これは「性別」という言葉を「男・女」という1つの意味でしか捉えられていないことから起こる発言だ。
僕から見るとこれらの言葉は
「日本人なのに何で陽気なの?」「関西人なのに陰気だね」「であなたは関東人なの?関西人なの?」というような言葉と同じに見える。
「日本人」「関西人」というまとまりが皆同じ性格・同じ特技を持っているわけでもないし、関東・関西以外にも北海道人や九州人、日本以外の国で生まれ育った日本人もいる。
それを「日本人・外国人」「関西人・関東人」というベクトルだけで目の前にいる人について理解しようとすると、どうしてもズレが生じる。
そこで、「日本人」「関西人」などの「出身」というアイデンティティの他に、「性格」「特技」などとアイデンティティを細かく分類していけば、目の前にいる人をより理解できるようになる。
「理解できない」というのは「怖い・脅威」という感情に結び付く。
なので「理解する手がかり」というのは多ければ多いほど良いのだ。
そういうことで、性別も3つの観点に分けて考えれば、冒頭に挙げたような「男なのに」「女のくせに」「男?女?はっきりして」というようなぶつかりは無くなるといえる。
1,セックスとは?

それでは早速3つの言葉について見ていこう。
まずセックスとは、生物学的な性別のことだ。
生まれたときに性器の特徴を見て、戸籍に「男」「女」という性別が記録される。
「オス」「メス」という用語はこのセックスに分類される。
これを見ると「男」「女」の2種類だけに見えるが、身体的に男性とも女性とも言えない性別の人も一定数いる。インターセックスと言われる人たちだ。
インターセックスは身体的に男性も女性も持ち合わせている。
この特徴をもつ人は産まれたときに親や医者に「男か女か」を決められ、本人の意思なしに決められた「男か女」の性別に体を手術されてしまう。

インターセックスは生まれた体の性別の話なので、LGBTq+のT、トランスジェンダー(生まれた体と心の性自認が一致しない)ではない。トランスジェンダーは本人の意思で性別を心の自認に合わせる治療や手術をすることができる。
だがインターセックスは本人の意思なしに、子どもの体で、危険や副作用が起こるかもしれない治療や手術をされる。本人に「インターセックスとは」ということが説明されないケースもある。
生まれた体もアイデンティティの1つだ。
生物学的性別には男性・女性・インターセックスと、男女の2種類だけではないことをまず知っておこう。
2,ジェンダーとは?

次にジェンダーとは、社会的・歴史的な性別の役割のことだ。
「男は外でモーレツ社員、女は家庭で家事育児」というのが典型的なジェンダーだ。
これを見ると、セックスとジェンダーに大きな違いがあることが分かるだろう。
セックスは先天的な特徴に対し、ジェンダーは後天的な「しつけ」や「教育」によって僕たちの脳みそに刷り込まれていったものだ。
「女の子だからお人形、男の子だからミニカーを与えよう」「それぞれが異性のおもちゃで遊ぼうとしたら「男の子でしょ」「女の子でしょ」と言って止めに入ろう」というのがスタートな感じがする。
通販サイトでもクリスマスの時期になると「男の子用おもちゃ」「女の子用おもちゃ」とページが分類がされているのをよく目にする。
大人になってからも「女性はよく泣くもの」「男性は泣かない強いもの」という性格付けや「女性はお茶くみをするもの」「男性はリーダーシップをとるもの」という能力や特技にまでジェンダー意識が入り込む。

だが、上の方で言ったように「日本人」「関西人」という出身と、その人の性格や特技との関連性は絶対ではないように、性別と性格・特技・能力も絶対一致するわけではない。
おもちゃにしたって、面白いおもちゃなら遊びたいし、つまらないおもちゃならすぐ飽きる。これはおもちゃの出来の問題で、子どもの性別の問題ではない。おもちゃの好みも性別ではなく、個人の性質による。
また、セックスで性別は男女の2種類ではないと言ったのに、ジェンダー意識は男女の2つしかないというのもおかしな話だ。
世界的には「ジェンダーの多様化」と男女2つ以外も含めているが、ジェンダーというのが社会的・歴史的な性別の役割だというなら、男女2つ以外の性別についても固定概念で見ている可能性がある。
ジェンダーという意味合いが理解できれば、「今自分は固定概念で目の前にいる人を見てしまっていないか?」という意識ができる。
これが自然になれば、複雑に考えずとも「この人はこういう人でこんな特技があるんだ」と性別の観点抜きに認識することができるようになる。
この認識の仕方は「男/女だから当たり前」という考えではなく、「この人だから」「この人の特技はこの人の努力からだ」と、目の前にいる人のことを「認める」ことにもつながる。
3、セクシュアリティ

最後にセクシュアリティとは、人間の性の在り方のことだ。
セックス・ジェンダーに比べて一気に広い意味になって分かりにくくなるかもしれない。
詳しく言うと、「1、身体的性(生まれた体の性別)」「2、性自認(心の性別)」「3、性的指向(恋愛対象・性愛対象)」「4,性表現(ファッション、しぐさ、言葉遣いなど)」の4つを基本とした性に関することがらを、本人のアイデンティティとして捉える、ということだ。
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LGBTq+もそうではない人も、セクシュアリティという考え方は本人のアイデンティティを捉える上で大切なものになる。
生まれた体の性別はセックスのことだ。なので、セクシュアリティはセックスを含めた大きな船のようなものと考えられる。
セックスを含めて、心の性別も、恋愛対象も、着る服・髪型・言葉遣いなどなどを「男なんだから」「女なんだから」という世間の圧力に押し殺されるのではなく、自分らしく生きて良いんだよ、という認識のもとでこの用語は使われる。
セックスのパートでインターセックスは男女のどちらかに矯正されるという話をした。
ジェンダーのパートで男性は「男はこうあるべき」、女性は「女はこうあるべき」という圧力が存在することをお話した。
もちろんそれが自分に合っていると感じる人はそれで良い。
一方で「自分はこうありたいのに…」と抑圧されていると感じる人は「セクシュアリティ」の考え方が救いになるだろう。

- 生まれた体は女性、心の性別は女性、恋愛対象は男性、性表現はちょっとボーイッシュなかっこうが好き
- 生まれた体は男性、心の性別は男性、恋愛対象は男性、性表現はきれい目な黒のジャケットを着こなすような人
- 生まれた体は女性、心の性別は男性、恋愛対象は両性、性表現はロックパンクな男性服
などなど、色んな組み合わせ・パターンが考えられる。
セクシュアリティは4つの組み合わせから考えるので、あなたに合ったものが必ずできるのだ。
あなたの組み合わせ・パターンが自分で理解できれば「自分はこういう人なんだ!」と自信を持てる。
さらに「自分はこういう人です」と人に言うこともできるので、あなたと同じ組み合わせの仲間を見つけることもできるようになる。
性別の3種類のなかでも、セクシュアリティのパートは一番あなたに寄り添ってくれるものだ。
あなた自身・目の前にいる人を理解できる

セックスで現実として存在する体の性別のこと、ジェンダーで世間に存在する性別の固定概念のこと、この2つを踏まえてセクシュアリティで「あなたはどう在りたいのか?」というアイデンティティについて考えた。
アイデンティティを認めることは大事なことだ。
周りに「こうしなさい」と言われて本来の自分を出せないでいると、本当はできることもできなくなってしまう。
僕は大学でフランス語を取っていたのだが、大学で初めて触れた上に今現在継続していないので「フランス語で書きなさい」と言われたら、このブログ記事も全く書けず、皆さんに伝えられることも伝えられなかっただろう。
第一言語である日本語を使っているからこそ、僕の伝えたい内容を伝えることができる。
一番「自分」を出せる状態・環境で、初めて自分の能力を発揮できる、というのはあなたも経験があるだろう。

また、誰か他の人のアイデンティティを認めることも同じくらい大事だ。
「男なのに筋力がないなんて」「女のくせにお茶くみもできないなんて」「男か女かはっきりしないやつ」と固定概念と違うという理由で「無能」としていたら、実はすごいプログラミング能力があった、すごく交渉能力があった、などということを見落としてしまう可能性がある。これを防ぐことができるかもしれない。
親や先生なら、子どもの才能を性別を理由に潰してしまう危険を減らせる。
「セクシュアリティ」という観点があれば性別の固定概念に縛らず「あなたの特技は?」という話に移ることができるのだ。
これはとても大事で有益なことではないだろうか。
まとめ

今回はセックス・ジェンダー・セクシュアリティの3つの性別の種類についてお話してきた。
他の記事でセクシュアリティの話やLGBTq+の話をしていると「そもそも性別の基本的なお話をしている記事が1つほしい!」と感じたことからこの記事を書いている。
僕はトランスジェンダー男性だが、トランスジェンダーと混乱されやすいインターセックスについても触れられてよかった。
「LGBTq+」というとどうしても範囲が狭くなってしまう。インターセックスはLGBTq+ではない。またシスジェンダー(生まれた体と心の性別が一致している人)でヘテロセクシャル(異性愛者)の人もLGBTq+に含まれない。
ここで「セクシュアリティ」という観点を持ってくると、人類誰でも含めることができるのだ。
性別に悩むのは何もLGBTq+だけではない。
この性別3種類をはっきりさせることで、この悩みを少しでも解消できればと思う。