こんにちは、Miyabiだ。

突然だが、トランスセクシュアルとトランスジェンダー、違いは何だろうか。

「LGBTq+」という言葉のTはトランスジェンダーのTだ。

だが似たような言葉で「トランスセクシュアル」もある。

今回はこの2つの言葉の違いをFTM(生まれた体は女性だが、心の自認は男性)である僕からお話していこう。

トランスセクシュアルとは?

トランスセクシュアルは、トランスジェンダーの一部に含まれる概念だと言われている。

LGBTq+の医療や人権の歴史から生まれた言葉なので、その背景とともにお伝えしよう。

トランスジェンダーのおさらい

まずは「トランスジェンダー」という言葉から。

トランスジェンダーとは、生まれた体と心の自認の性別が一致していない人のことを指す。

自認の性別は男性・女性だけではなく中性・無性・間性など、Xジェンダーに分類される性別も入る。

広義では異性装(クロスドレッサー)をする人も含むというが、「自認は男性だが女性の服装が可愛いから着る」「自認は女性だが男性の服装が好きだから着る」「生まれた体は女性で自認は男性、女性の服装を着るのは好き」などなど、自認と服装の性別が違うという部分が似ている。だから広い意味では含まれるが、彼ら彼女らが必ずしも「生まれた体の性別に違和感がある」わけではない

僕は「クロスドレッサーはファッションだから、わざわざトランスジェンダーに入れなくても良いのではないかな」と思ったりする。

狭義でいうとトランスジェンダーは出生時に割り当てられた性別と自認する性別が一致していないことを指すからだ。

とはいえ、「トランスジェンダー」という言葉には、「オカマ」「オナベ」「障害」「精神病」といった差別の歴史から当事者を正しい認識のもと救う役割もある。

脱線するが、我々人間の目は他の動物よりも白目の面積が大きい。犬や猫から見ると「目が気持ち悪い生き物」と思われているかもしれない。

だが僕たちは「気持ち悪い生き物」ではなく、「人間」という言葉が割り当てられている。自分を分類してくれる名称は、自分を肯定する助けになる。

同じように、差別の歴史からきた「ジャップ」と呼ばれると裏がありそうで心地悪いが、「日本人」「ジャパニーズ」と呼ばれるとすんなり受け取れる。

そういった意味で分類、蔑称からの救いとして「広義のトランスジェンダー」という言葉が存在するのだ。

トランスセクシュアルとは?

さて、トランスジェンダーのおさらいができたところで「トランスセクシュアル」についてお話しよう。

トランスセクシュアルは2つ意味が存在する。

1つは、生まれた体の性別と心の自認の性別が一致していなくて、それに対して違和感・嫌悪感があり、場合によっては外科による手術を希望している状態のこと。

もう1つは、既に性別適合手術を受けた状態のこと。

トランスジェンダーには「治療も手術もしなくていい」「ホルモン治療だけしたい」「ホルモン治療と手術、両方したい」といて、治療をどの程度希望するかは人による。

その中でも体を本来の性別にするために「手術をしたい」までを強く意識している人をトランスセクシュアルという。

トランスセクシュアルとトランスジェンダー

トランスセクシュアルはトランスジェンダーの一部か?

上で言ったような定義から、トランスセクシュアルは狭義のトランスジェンダーにかなり似ていることが分かる。

狭義のトランスジェンダーの内、手術を希望している人・手術済の人をトランスセクシュアルというと思って良いだろう。

こう考えると僕もホルモン治療をしていて性別適合手術をしたいから、トランスジェンダーであり、トランスセクシュアルである。

とはいえ、1人1人に「手術希望ですか!?」「手術してますか!?」と聞いてまわるのは現実的ではない。

というか「男性として扱ってね」というようにどう認識してほしいかだけ伝えれば日常生活に支障はないのだから、お医者さんでない限り、無理に「トランスジェンダー」「トランスセクシュアル」を使い分ける必要は全くないともいえる。

「手術希望」とは、どこまでか?

2021年現在の日本では、戸籍の性別を変えるのに性別適合手術を終えている必要がある。

だが手術には身体的なリスクがある。

また、性別適合手術は手術費用が150~300万円と誰でも容易にポンッと出せる金額ではない。

先ほど言ったように、トランスジェンダーでは治療や手術をどれくらい望むかは人それぞれだ。

仮に「ホルモン治療だけ」とした場合でも、外見は自認の性別にかなり寄る。男性ホルモン治療歴1年の僕が既に声変わりして男声で、ヒゲが生えたり筋肉が付きやすい体になっていたりする。

この状態だと、外見の性別と免許証などの書類上の性別が一致しなく、かなり煩わしいことになる。

こういった事情で「手術はできない・したくない」「けど、戸籍の性別は変えたいから望んでいないけど手術をする」という選択に迫られる人もいる。

この状態で「性別に違和感があって手術を希望している人・手術済の人」という分類が完ぺきではないことが分かるだろう。

「トランスジェンダー」でオーケー

ここまでで「トランスセクシュアルってややこしい!」と思った方も多いだろう。

だが思い出してほしい。

トランスセクシュアルはトランスジェンダーの一部と言えることを。

さらに広義での「トランスジェンダー」には、性別に違和感を抱いているわけではない「クロスドレッサー」なども含まれる。

そもそも「トランスセクシュアル」は生まれた体と自認の性別が一致しない人に対する差別が色濃くあった時代に生まれた言葉だ。

さらに「手術を希望」までいくとマイノリティの中のマイノリティとなり、不当な扱いをされているのに人権問題にピックアップされない、ということがあったのだ。

なので、自認する性別に関することはみんな「トランスジェンダー」に分類し、全種類の人権を救済しよう、となっている。

なので「トランスジェンダー」で大丈夫だ。

まとめ

今回はトランスジェンダーとトランスセクシュアルについて見てきた。

SNSを見ているとプロフィール欄に「he/him」「she/her」「they/them」と書いてある人が多くなっている。

ネットだと自己紹介をぶら下げておけるので、自分をどの性別(男性、女性、中性など)で扱ってほしいかを周りに知らせておける利点がある。

リアルの場面でもそういう自己紹介ができる雰囲気になれば「トランスジェンダー」とか「トランスセクシュアル」のようなややこしい医療用語を言って堅苦しい空気にならなくなるよな、と思う。

最近、自画像を描くことに興味がある。トランスジェンダーという言葉を知らず自己嫌悪していた学生時代では考えられないことだ。

このブログを書くことでLGBTq+のこと、ひいては自分を見つめ直す良いキッカケができている。

いつか油絵で作品として自画像を展示販売できれば、自分のことをもっと好きになれそうだ。