
こんにちは、Miyabiだ。
LGBTq+のT、トランスジェンダーは生まれた体の性別と自認する性別が一致しない人や状態のことを指す。僕の場合は生まれた体は女性だが心は男性だ。
日本ではトランスジェンダーの性別を自分の認識する本来の性別に戸籍を変更することができる。
だが、これには条件を満たすことが必要になってしまっている。
目次
トランスジェンダーと性別変更の法律
性別変更するための現状の法律とは?

まずは、2021年現在の戸籍の性別変更をするための法律を確認してみよう。
「性同一性障害特例法(2003年)」
- 年齢条件:20歳以上であること(2022年4月1日からは18歳以上になる)
- 非婚条件:現に婚姻をしていないこと
- 子なし条件:現に未成年の子どもがいないこと
- 手術条件、生殖不能要件:生殖腺がないこと、または生殖腺の機能を永久に欠く状態にあること
- 外観要件:その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
この5つの条件が定まっている。
性同一性障害特例法の問題点

この戸籍の性別を変更する法律には多くの問題点を含んでいる。
まず、「性同一性障害」という名称だ。
僕がトランスジェンダーということで病院に認めてもらい、FTM(生まれた体は女性だが自認は男性の人)の診断書をもらったとき、お医者さんに世界の医学とトランスジェンダーの現状を教えてもらった。
WHO世界保健機関が定める病気やケガの名前の区分を示す辞書がある。数年に一度更新されるらしい。
現在更新された新しいWHOの国際疾病分類改訂版「ICD-11」では「性同一性障害」は削除され、代わりに「性別不合」という言葉が新設された。
そして「精神疾患」の分類だったのが削除され「性と健康に関する状態」のカテゴリーができ、そこに分類されることになった。
インフルエンザや風邪が精神病ではなく体を治療するのと同じように、「心を治す」認識から「体を自認する性別に近づける」という考え方が主流になっているとお医者さんは言っていた。
「戸籍変更の条件」と「治療の現状」の不一致

戸籍の性別を変更できる年齢は2021年現在で「20歳以上」とある。
だが、トランスジェンダーのホルモン治療を始められるのは原則18歳、条件を満たせば15歳から認められる。ここで年齢で時差が生まれている。
何が問題かというと、ホルモン治療による見た目の変化に戸籍変更が追い付かない点である。
トランスジェンダーが本来の性別に近づくための治療にホルモン治療がある。心が女性なら女性ホルモンを、心が男性なら男性ホルモンを注射(女性ホルモンなら錠剤もある)する。
- 女性ホルモンを服用すると胸が大きくなる、肌のキメが細かくなる、脂肪がついて女性的な体型になるなどの効果がある。
- 男性ホルモンを打つと声が低くなる、ヒゲが生える、筋肉質になる、生理が止まるなどの効果がある。(僕の経験だと、肌質のキメが荒くなったり、手がゴツッともした)
このような外見から分かる変化が治療開始の数か月後から起こり始める。
だが、現状の法律では手術により胸・子宮、または精巣を摘出しないことには戸籍変更が認められない。ここで、保険証や免許証、パスポートなどの書類上での性別と見た目の性別が違うという不具合が発生するのだ。

また、このような性別適合手術を受けられるようになるまで1年間はホルモン治療を続ける必要がある、そもそも性別適合手術が保険適用外で費用が最低でも150~300万円と莫大ですぐに受けられるものではない、という事情からも戸籍と見た目にラグが生じてしまうのだ。
全く健康で善良に生きて仕事の能力もあるのに「本人確認ができない」「役所関係の手続きが進まない」「就職できない」などなどの弊害が生まれる。
トランスジェンダーには色んな人がいて、僕のように「ホルモン治療と手術までやりたい人」「ホルモン治療だけがいい人」「治療はしたくない人」がいる。
「手術すればいい」と簡単に済ませられる問題ではないのだと、実際にホルモン治療を初めて1年経つ僕は実感している。
結婚が難しい・できない

トランスジェンダーは戸籍を変更すれば、変更した性別にとっての異性となら結婚ができる。女性から男性に戸籍を変更すれば、戸籍が女性の人と結婚ができる。逆もしかりだ。
だが問題なのは、好きな人と結婚するためにトランスジェンダー側は莫大な費用とメスをいれるリスクをとって手術をしなければいけないということだ。
先ほども言ったように、トランスジェンダーは手術を希望する人・しない人の両方が存在する。たとえ希望しても費用がかかるので簡単に踏み出せない。
また、トランスジェンダーの同性愛者もいることを忘れてはならない。トランス男性が男性と結婚したい、トランス女性が女性と結婚したいというのがある。
この場合、どうしても結婚届を出すには、トランスジェンダーが手術をせず戸籍を変更せずにいる必要がある。
こうなると、ホルモン治療をする人は見た目と戸籍の性別のギャップで生涯苦しむことになる。
この「結婚」と「戸籍の性別変更の法律」の問題には、異性・同性の婚姻による権利や適応法律の適応も関わってくる。異性同士での結婚で適応できる法律が同性では適応しないと、経済や人権、DVなどの問題において同性パートナーが保護されないことになってしまうのだ。
まとめ

僕はホルモン治療を続けていて、手術も受けたいと思っている。戸籍の性別を変えたいのはもちろんだし、外見ももっと男性に近づきたい。
だけどもやはりホルモン治療だけでも費用は高いし、手術を安く安全に済ませようと思ったらタイに行く必要がある。
タイに行くとなると学校や仕事を長期休みすることになる。これを考えると現状日本では、自分の性別を言うために何重もの壁があるのだ。
WHOで精神疾患のカテゴリーから削除され、「性別不合」としてあらたなカテゴリーができる。これをキッカケに日本の法律も良い方向に変わると僕ももっと生きやすくなれるな、と希望を抱きたい。