
「カミングアウト」とは、自分はLGBTq+だ、ゲイだ、トランスジェンダーだ、などと周りにいる人に告白することだ。
ただ、周りにいる人からしたら
「なんで自分に言うんだろう?」
「なんで今言うんだろう??」
と疑問に思うことも少なくないだろう。
目次
カミングアウトの理由
カミングアウトする理由は人それぞれである。
かく言う僕もトランスジェンダーだと周りにカミングアウトをした経験があるのだが、理由は1つではなかった。
隠すのがしんどくなった

考えられる理由で多いのはこれだろう。
LGBTq+を隠して生きるのは案外しんどい。
ゲイやレズビアンなどの恋愛方面のLGBTq+を隠すなら「好きなタイプは?」「彼女・彼氏は?」「結婚は?」などの恋愛話で嘘をついたり、追及をかわしまくる必要がある。(この手の話は一般的に「セクハラ」になるので控える人も増えてきているが、家族・親戚間では自重しないし、学生時代も恋愛トークが主流だろう)
トランスジェンダーなど性別に関するLGBTq+を隠すのは、「男なのに女のかっこう」「女なのに男のかっこう」をしなくてはいけない、恋人や友人から本来の性別で認識してもらえない、などで自分を押し殺す必要がある。
LGBTq+関係なしに、「自分を偽る」「自分を押し殺す」というのは鬱病などの精神病を引き起こす要因だ。
ブラック企業で身も心もしんどいのに「全然平気ですよ!」と無理やり笑っている感じを想像してみてほしい。
それと同じ苦痛・しんどさから解放されたくて、カミングアウトをする場合がある。
周りにいてくれる人に悪いと思って

上でも言ったように、LGBTq+は隠すために嘘をつかなければならない。悪気があるわけではない。
ただ、LGBTq+は子どものときから周りの人との会話から、自分の「当たり前」は周りの「あり得ない」だ、と肌で感じてしまうのだ。
それによって「友人を失いたくない」などの思いから、隠していくようになる。世界が狭い小学校・中学校・高校ならなおさらだ。
僕の場合は大学生くらいでやっと周りも「LGBT」を認識したり、オープンな性質の人が自身がLGBTq+だと言っているのを聞いたりして、「周りもそんなに差別しなさそう…自分も言えるかもしれない」とカミングアウトに積極的になっていく傾向があった。
結局カミングアウトしたのは大学を出てからになったが…。
カミングアウトする理由に、「隠すのがしんどくなった」と同時に「友人や周りにいてくれる人たちに嘘をつくのが嫌になった・「嘘をつく」ことが悪いと思った」というのもある。
最近だとLGBTq+の認識も広まっていて、中学・高校くらいでもカミングアウトできる雰囲気があるかもしれない。
本人が「言っても差別されない」「大丈夫な雰囲気だ」と思った頃合いに、信頼できそうな人に言うのが、このパターンに多い。
カミングアウトしなければ都合が悪くなった

トランスジェンダーで、外見を自分の本来の性別のものに路線変更したり、ホルモン治療をしたりすると、どうしても外から見て大きな変化が出てくる。
スカートをはけば周りも「あれ?女性なの?」と認識を変える。トランス男性は男のようなかっこうをしても「ボーイッシュ」で済んでいたのが、ホルモン治療をすると声変わりしたりヒゲが生えたりして「あれ?男性?」と認識が変わる。
つまり、こちらから言わなくても、周りが勝手に認識を変えざるを得ない状況になるのだ。
それの予告編としてのカミングアウトがある。
親や学校、勤務先に「LGBTq+だ」とカミングアウトするときは、たいていこの理由だろう。
同時にトイレや更衣室、制服などの変更が必要だったり、周りの協力を求めている可能性もある。
ゲイやレズビアンであれば、パートナーが入院したりして、「身内」「家族」として面会やお見舞い、付き添いができるようにカミングアウトをするときがある。
または、会社で福利厚生などの関係で「未婚ではない。パートナーがいる」と言うためにもカミングアウトをしたりする。
この「カミングアウトしなければ都合が悪くなった」場合は、事務的な手伝いを求めていたり、セクハラ被害について訴えている可能性がある。
あなたがカミングアウトしてきた人の「友人」というよりかは「上司」の立場であるならば、この点の話を聞いてみることも大事だろう。
まとめ
僕はトランスジェンダーだが、カミングアウトはするときとしないときとがある。
まだ戸籍を本来の性別に変更できない状況なので、役所や電気水道などのライフライン等の人にはカミングアウトしない。
だが、画家として作品を描くときは、トランス男性であることが大事な創造源である。
なので絵を描いたり発表したりするときは、作品解説の一部としてカミングアウトしている。
このように、カミングアウトする理由は状況や相手によって様々だ。それによってタイミングも変わってくる。
ぜひ参考にしてみてほしい。