同性を好きな人や性別を変更した人に対して「かわいそう」「気持ち悪い」と心無いことを言う人がいる。

あなたがLGBTq+であっても、当事者でないとしても、悪口を聞くのは気持ちの良いものではないだろう。

僕も当事者として、話す相手にはかなり気を付けている。

では実際、そう言う人がいたときにどうすれば良いのだろうか。

誰がそれを言っているのか?

まず、LGBTq+に悪口を言っている人が誰なのかを確認してみよう。

親か?親戚か?友人か?恋人か?知らない人か?

身近の人の場合

親や恋人など身近な人の場合、信頼している人であることも多いので余計傷つく人も多いだろう。

LGBTq+当事者ならばカミングアウトする必要もある相手なのでなおさらだ。この場合、カミングアウトは控えたほうが良いだろう。

そして、「信頼しているあなたが誰かの悪口を言っているのを見るのは耐えられない」旨を冷静に、淡々と伝える。

もし大切な恋人や友人がLGBTq+のときは、理解のない発言から全力で守るようにしよう。

友人や親戚の場合

ここら辺は、あなたにとってその人が大切な人かどうかを見極める必要がある。

大切な友人が理解のない発言をして、あなたがそれに耐えられないとしたら、その事を冷静に真面目に伝えてみよう。向こうもあなたが大事な存在なら、あなたの言う事に耳を貸してくれるはずだ。

もしあなたが丁寧に考えを伝えても悪意を持って悪く言っているならば、LGBTq+以外でも、例えば職業や人種、国籍などでも同じことを言ってくる可能性がある。早々に距離を取ったほうが良いだろう。

当事者の場合

LGBTq+当事者が他のLGBTq+当事者に理解のないような発言をすることもある。

考えられることは1つ目は、例えば同じ「ゲイ」であっても、人それぞれ考え方が違うということだ。

熊みたいな見た目が好きな人もいれば、細身を好きな人もいる。そのような違いから「かわいそう」などの悪口に繋がっていることがある。

もう1つは、自分が差別を受けてきて、その反動で他の当事者を差別してしまう事象である。

虐待を受け育った人の一部が、子どもに虐待をしてしまう現象と同じだ。

これは理解のない社会、進まない性教育、昔から進展のない法律など、色んな要因が絡んでくる。 

もし身近にいるならば、上に書いた友人・親戚の場合と対応は同じで大丈夫だろう。

もしあなたが何かの権力をもつ立場であるなら、このような反動で差別をしてしまう人を生み出さない環境作りをすると減っていくかもしれない。

理解のない人の主張は正しいか?

このことも考えなければならない。

少子化につながる?

よく、「LGBTq+は少子化を促進させる」という主張がある。

というか、理解のない人はほとんどこれを言っている。

だがよく考えてみてほしい。

男女で恋人になった人が皆、子どもをもうけているだろうか?

昔は大家族が主流で、男女1組が子どもを3~5人くらい作るのは当たり前だった。

一方現代で子どもは1~2人いれば多い方である。

昔は「子どもは村みんなの子ども」のように、近所みんなで育てる風習があった。だが今はそうではない。

そして昔も現代も、子どもをつくれない人も多い。不妊症だけでなく、保育園や幼稚園に入れられない、育てきるお金がないなどの経済的な理由も大きい。

また、子どもを作ったものの育てられなくて捨てられ、そのまま亡くなってしまったり、出生届を出されないまま存在を認知されず生きている人もいる。

日本では避妊具が少ない・手に入りづらいことも関係する。

このように様々な理由があって少子化があるのをLGBTq+だけに責任を押し付けるのは、論点が変わってしまう。

また、LGBTq+でも子育てをしている人もいるので、見逃してはいけない。

LGBTq+以外の権利は?

LGBTq+の人権を主張すると

「そうじゃない人の権利は?」と言い出す人もいる。

そもそもLGBTq+以外の人に保障されている権利がLGBTq+の人にないから主張している、というのを考えたい。

ただ、「LGBTq+・それ以外」で2分するからややこしくなるだけとも考えられる。LGBTq+とひとくくりにするが、その中にも様々な人がいる。

ゲイ・レズビアンのようにパートナーの権利と、トランスジェンダーのように個人の権利の2種類が少なくとも存在する。

レズビアンやMTF(男性の生まれで女性の性自認のある人)に関しては、女性差別の問題も絡んでくる。

つまり、「LGBTq+」の問題を解決するためには「男女」「高齢者」「子ども」「教育環境」「職業」「国籍」「人種」などなど、色んな差別問題を同時に解決する必要があるのだ。

ということは、LGBTq+が生きやすい世の中になっているころには、皆が生きやすい世界になっているはずなのだ。安心して大丈夫だ。

まとめ

「周りにいる人がLGBTq+に理解のない発言をしていてツラい…」

そう思っているあなたは、本当に心が優しい人だ。

同じLGBTq+同士でも違う人間なので、何が好きで何が嫌いかは人それぞれだ。なので、LGBTq+だろうとなかろうと、老若男女問わず「相手」を見るようにすると良いのではないだろうか。

「日本人だから真面目で陰気」という前提で外国の人に接せられると「この人は私のことじゃなくて、日本人というカテゴリーでしか見てくれないんだな…」と残念に思うこともあるだろう。

だからこそ、「相手」の存在を認めて「相手」がどんな人かを知ろうとしてみよう。