こんにちは、Miyabiだ。

世の中には、生まれた体の性と違う性自認(心の性別)の人がいる。

「女の体に生まれたけど、自分は男だ」
「男の体に生まれたけど、自分は女だ」
「自分は男や女ではなくXジェンダーだ」
などがあるね。

僕もトランス男性なので「トランスジェンダー」という言葉を知ったときは「これだ!」と感じた。現在はホルモン治療をして男性化をしている。

ただ

「自分は本当にトランスジェンダーなのかな?」

「性別適合手術とかホルモン治療とかはしたくないけど、でも体と違う性別だと思う」

という人もいるだろう。

実際に他のトランスジェンダーの人の話を聞くと「迷った」と言う人も少なくない。

では、自分が本当にトランスジェンダーなのか、その判別方法はあるのだろうか?

基礎知識

トランスジェンダーとは?

まず「トランスジェンダー」の語の定義から確認しよう。

トランスジェンダーとは、生まれた体の性別と違う性を自認している人のことを指す。

生まれた体の性別のことを「身体性(セックス)」、
心の性別のことを「性自認(ジェンダーアイデンティティ)」というよ。
「性別」の中にも分類があるってことだね。

ちなみに、これらが一致している人(トランスジェンダーではない人)を「シスジェンダー」と言うんだ。

僕のように、女性に生まれたが男性の自己認識がある人(FTM、トランス男性)もいれば、逆に男性に生まれたが女性の自己認識がある人(MTF,トランス女性)もいる。

または、女性 / 男性の体に生まれたが、性自認はどちらでもない人もいる。これは「Xジェンダー、FTX(生まれた体が女性の場合)、MTX(生まれた体が男性の場合)」とも言う。

「FT~とかMT~とかって何の頭文字?」とややこしくなるかもしれない。

これは

Female To Male (女性から男性へ)、Male To Female(男性から女性へ)

の英字の頭文字である。

トランスジェンダーは手術しなきゃいけないの?

病院に行きGID(性同一性障害、現在は性別違和)の診断書をもらえたら、自分の認識する性別へ変更するための治療を進めることができる。

具体的にはホルモン治療性別適合手術(性転換手術)である。

僕は両方とも希望していて、手術のためのホルモン治療を現在している。

だが、トランスジェンダーは必ずしも治療や手術をしなくてはいけないわけではない

ホルモン治療を開始すると、自分に投与しているホルモンの影響が体に出てくる。

例えば男性ホルモンは声変わりを起こす作用もあり、これは途中で治療を中断しても元の声に戻らない

僕の場合は声が低くなって嬉しかったが、「あれ…思ってたのと違う」という人もいるだろう。

「治療や手術をすれば、自分の理想になれる!」というわけではなく、あくまでも「声を低く・ヒゲを生やす・生理を止める」という男性化や「胸を膨らませる・体付きを丸くする・肌質を変える」という女性化をするためのものなんだ。

治療や手術で得られる変化が、自分の欲しい要素なのかどうか、いったん考える時間を作るといいかもね。

また、女性・男性という性自認はあくまでも概念の認識であって、外見だけの認識ではない。

僕の友人に両親が外国から日本に来て、本人は日本国籍・日本生まれ日本育ちの人がいる。

外見では「いかにも5ヵ国語がペラペラそう」な印象だが、本人は日本語しか話せない。

この友人は自分を生粋の日本人だと認識しているが、外見を大和民族風のテンプレの日本人顔に整形しようとは考えていない

でも認識は「日本人」なのだ。

トランスジェンダーはこれと似ている。

ホルモン治療・手術をして初めて自分の認識と近くなる人もいれば、ホルモン治療のみの人、どちらもしないでokの人もいる。

治療をする・しないは、それによってどんな体の変化が起こるか、その変化は自分の自己認識と合致するものなのかを慎重に判断する必要がある。

トランスジェンダー以外の理由はないか?

例えば、二重人格。

主人格は生まれた体と性自認が一致しているが、第二の人格は一致していない。

こんな場合、別の診断となるのでGID(性別違和)の診断書は渡されない

また、職場にある女性差別のせいで「自分が男だったら…」「男になりたい」と思ってしまう場合もある。

なりたい職業が性別縛りがあって「自分が女性だったらこういうこともできるのに!」もあるだろう。

これらの事情がある人も、診断書を渡されない。

ツラくても、これらの問題はあなたの体に問題があるのではなく差別のある社会に問題があるからだ。

人種差別と同じことなので、「もし差別されない側だったら…」と思ってしまうのは仕方がないことだ。

だが、それでホルモン治療や手術をやってしまうと今度は「こんなの自分じゃない!」という思いが出てしまうだろう。

大事なのはあなた自身だ。

本当にトランスジェンダー・性同一性障害なのか?というのは「性別の違和感の原因」が
・他人からの目
・自分自身の認識
のどちらなのかを選別してみると、判断しやすくなるよ。

美少年くんの言うように、違和感について自己分析すると分かりやすい。

では次に判断方法をご紹介しよう。

トランスジェンダーの判断方法

自分史をつくる

GIDの診断を受けるとき「自分史をあらかじめ作って持ってきて」と病院に言われる。

実はこれは、自分でトランスジェンダーかどうかの考えを整理するのにも使えるものだ。

自分史と言っても、就活やアルバイト面接のときに出す履歴書ではない。

自分を幼少のときから振り返って、性に対してどんな認識をしていたかを年表のように書き出すのだ。

「中学、制服のスカートが嫌で…」「水泳の授業で、男子用の水着が嫌で…」「生理が来なくて絶望した」などなど。

例えばFTMにはスカートへの嫌悪のある人も多いが、僕はお姫様ドレスやスカートを着ること自体に抵抗がなかった。

けれどもそれによって「女の子」と認識されるのが違和感だった。

こういうことを箇条書きにしていく。

他にも学校で、女子・男子に分かれて並ぶときに「男子列だ!でも、先生も友達もみんな自分を女子だと思っている…でも女子列ではない…」と自分と他人の認識で板挟みになったり、生理が来るたびに自分を否定されているみたいで絶望したりなどもある。

人によって「これは自分と違う」「気になる・許せないポイント」が変わってくる。

なので違和感のあった出来事といっしょに、「何故この出来事に違和感があったのか?」についてもメモしておくと良いだろう。

あと勘違いが起きやすいポイントだが、トランスジェンダーでも異性を好きになる人もいれば、同性を好きになる人もいる。

あくまでも「自分の認識」なので、自己認識と他人からの性の認識の差異で嫌な思いをした第二次性徴で思ってたのと違った、みたいなことを、それが起こった年齢といっしょに書き出してみる。

そうすると、自分が「治療しなくてもいいけど、トランスジェンダー」「治療も手術もしたい」「ホルモン治療だけでいい」「トランスジェンダーと関係ないところで苦しんでたのか」などなど、気づけるポイントがあるだろう。

まとめ

今回はトランスジェンダーについてと自分史の書き方についてお話してきた。

生まれた体と性自認が完全に一致しているシスジェンダーの人たちが、みんなテンプレの男女であるかというとそうではない。

そもそもテンプレートなんて存在していないのだ。

よって、「トランスジェンダーかどうか」の明確な判断基準はない。

クマのぬいぐるみが好きだから、女。仮面ライダーが好きなの、男。

とできないのが現実だろう。

あなたが何を好きだろうが大丈夫だ。

インフルエンザの人が治療して健康な体に戻ろうとする。

それみたいに、自分の認識と違う性別の体の人が、自分の本来の性に戻ろうとする。

そう考えてみるとわかりやすいかもしれない。

まずは世間の一般認識やテンプレートに流されず、自分史を書き出すところから始めてみよう。